堪能 ページ44
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「司！おはよ〜」
「おはようございます」
付き合い始めてから一緒に登校するようになり、2人はいつも夢ノ咲学院前駅の出口で待ち合わせをする。
学院の最寄り駅からの短い道のりだが、これも司がわざわざ電車通学をする理由のひとつだ。
まだ眠たそうなAを司がじっと見つめていると、彼女は不思議そうな顔をした。
「顔に何かついてる？」
「いえ、Aさんが恋人であることになかなか実感が湧かなくて…………」
目の前の相手も自分のことを好いてくれていて、それをお互いに知っているなんて、不思議な感覚だった。
大方振られると思って臨んだ告白だったので、今こうして毎朝会えているのが、幸せなのと同時に夢ではないかと疑ってしまう。
これで目を覚まして全てが夢だとわかったら、司はしばらく立ち直れないだろう。
「え〜、実感湧かないって、私に魅力がないってこと？」
「ち、違います！こんなに幸せだと、都合のいい夢のように思えてしまって…………」
Aに好きだと言ってもらえて幸せなのは間違いない。
しかし1度この幸せを知ってしまったら失うのが怖くて、臆病になってしまう自分がいた。
世の中のカップルは、皆この恐怖を乗り越えているのだろうか。
恋愛に不慣れな司にはわからなかった。
そんな司の苦悩もつゆ知らず、Aは以前と変わりなくあっけらかんとしている。
「夢だと思っちゃうなら、覚める前に堪能しときなよ」
うじうじしてると置いていくよ〜、と言って、Aが先にたったか歩き出す。
司はいつでも真剣だというのに。
「ま、待ってください！」
小走りで追いつくと、司はAの手を取った。
恋人同士の繋ぎ方のように指を絡めると、今度はAが落ち着きをなくした。
「ちょっ……！司、」
「夢が覚める前に堪能しておけと言ったのはAさんでしょう？」
手を繋いだまま目を合わせにいくと、Aが一瞬にして頬を赤らめる。
Aがスキンシップに慣れないのは相変わらずで、司は愛おしさが溢れそうだった。
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トド(プロフ) - にんじんさん» そんなに楽しみにして頂いてたとは！！嬉しいお言葉ありがとうございますー！！今後の励みになります！ (10月2日 19時) (
レス) id: a788b41716 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！毎回の更新楽しみにしてて朝に読んでテンション上げて行くのが日課になってました！！ありがとうございました🙏 続編も楽しみにしてます！ (10月2日 18時) (レス) @page47 id: 96c9f21394 (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ありがとうございます！！本当に嬉しいです😭 (8月23日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - とても面白いので更新楽しみにしてます！ (8月23日 22時) (レス) id: 44f6912c5a (このIDを非表示/違反報告)
傘(プロフ) - ^^さん» そうですね。評価ばかりどっと増えたので、同じ方が入れてるのだと思います。 (8月18日 22時) (レス) id: 6ab8a556b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トド | 作成日時：2023年8月18日 19時
