236話 「生中継」 ページ43
やらかした部下は平謝り。おとりにつけていたGPSはなぜか仕事をしない。
そして近くにいた左馬刻はなぜか合流して来た。色々とイライラが蓄積し、いい加減にしろと叫ぼうとした瞬間に、署で待機していた部下が連絡を寄越してきたのだ。
恐らく誘拐した人間を売り払っている集団が裏で流している生放送の動画を突き止めたらしい。場所は解析中、とりあえずこちらの持っている端末からもその動画を見れるようにするとのことで、URLとパスコード等々が送られてきた。有能で助かる。
ギャーギャーと喚く左馬刻に少し黙ってろと今度こそ叫び、動画のサイトに飛ぶ。
閲覧人数の数字を見て吐き気がしたがそれどころではない。
「………左馬刻、Aはお前と一緒にいたはずだろ!」
「そうだな」
驚くほど静かになった左馬刻。動画に映っているのは二十数人ほどの女。その中には囮として放していた部下、そして左馬刻と一緒にいたはずのAの姿。
画面の向こうの男が彼女の服に「13」と書かれた札を着ける。
「おぉ……こいついい値がつくぜぇ」
「13?」
「赤い目はカラコンじゃねえみてえだしなあ。こういう顔のは泣いてよがらせてえって変態からとんでもねえ額がつく」
「よかったなあ、変態の買い手がつきそうだぜ」
「ご視聴中の変態の方〜、おすすめですよぉ」
ゲラゲラと笑う男どもの命はないだろう。
笑うことが楽しすぎて彼女がカメラに向けている絶対零度の視線には気づいていないようだ。もしくは気づいていて些末なことと流しているか。
だがまあ……彼女が何もしないにせよ、あいつらは死ぬだろうな。
「……銃兎ォ」
「わかってますよ。連れて行けばいいんでしょう」
「二人ぐらい消えても構わねえだろ?」
先ほどまで暴れていたくせに……ガチでキレると凪ぐんだよな、お前。
煙草を吹かしながら口角だけで器用に笑っている左馬刻を見ながら自分も煙草を咥える。
煙を吸い込んだ時、端末が震える。「場所、特定しました」の文言とともに住所が送られてきた。ちらり、左馬刻を見れば当然のように覆面パトカーの助手席に乗り込んだ。さて、ゴミ掃除だ。
そんなわけで今に至っている。
イライラをおさめるように再び煙草を咥えた左馬刻がそれでもキレながら口を開く。
「おい、まだ着かねえのかよ」
「サイレン鳴らして急いでんだろうが考えればわかるだろ!……見えましたよ、あの倉庫です」
「ハッ、ベタなところに巣食いやがって」
吐き捨てるように左馬刻が言った。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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