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229話 「一般人じゃない人」 ページ36

229話

「もう、やだ……なんでこんなことに……」

1番の札を付けた女の子がしゃがみこんで泣きだした。一時的にやばい状況は遠のいたが、ここに居る全員、ろくでもない運命を辿るであろうことは火を見るよりも明らかだ。
可哀想なくらいに泣く女の子に寄って行こうとしたが、それより先に15番の札を付けた女の子が駆け寄る。おやおや?

「大丈夫、きっと大丈夫よ」
「あ、ありがと……」
「きっとなんとかなるわ、諦めちゃダメ」

格好や顔から若く見えるが、恐らく結構年上だな。片膝を着いて宥めるように言い聞かせる彼女はどうやら「一般人」ではなさそうだ。

『ねえ、ちょっとお姉さん』
「………なに?」

顎をしゃくってみせれば一瞬警戒の色を見せたが、スッと立ち上がって従ってくれた。
部屋の隅に移動して正面から見据える。先ほど男たちが入ってきた時もみんなを庇うような立ち位置にさりげなく出てきていた。そしてこの落ち着き。人の事は言えないがほぼ確定だろう。問題は、どちら側か。
分かりやすく言えば、銃兎さん側か、左馬刻さん側か。

『………欲を言えば警察さんであってほしいけど』
「大きい声で言わないでください。この状況でのカミングアウトは混乱になるかもしれない」
『だな……早く助けてよとかで大騒ぎになっちゃシャレにならない』

小声で女の子たちには背を向けて話す。
ドアの外に気配はない。大丈夫そうだな。

「おとり捜査です。ターゲットは若い女性なので私にかかるかどうか賭けでしたが」
『いや、お姉さん若く見えるよ。立ち振る舞いはアレだけど。洋服とかも相まって』
「そうですか?洋服は彼氏に見繕って貰いましたが……」
『彼氏いるのか。おとり捜査なんて……彼氏心配してない?』
「信頼されてるので。そしてもう直ぐ旦那です」
『うわ、マジか。こんなところで言うのもなんですけど、おめでと。無事に逃げれたらお祝い包みましょうか』
「ありがとうございます」
『じゃ、そろそろ真面目な話を』

チラリと女の子たちを見る。
警察さんがいたのは不幸中の幸いだが、危機的状況が変わったわけではない。

「私の靴の内側にGPSがついていますが、恐らく……なにか妨害されてる可能性が高いです」
『……なんでそうだって思うんすか?』
「なんの障害もなく追っているにしては遅すぎます」
『………じゃあ、もう俺たちでどうにかするしかないんですね』
「一応、二十分に一回の定期連絡は途絶えてるので探されてはいるでしょうが」

230話 「作戦、算段、秘策……なんとでも」→←228話 「下品な男たち」



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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年5月26日 20時

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