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223話 「負傷もあるよね」 ページ30

ショッピングモールにいる本日から時は遡り、一昨日の夕方の事である。
相変わらず理鶯との手合わせをしていたわけだが、お互いに手加減抜き……そりゃ殺意ほどまではいかないけど、本気を出さないのは失礼に値するってなノリで殴り合ってるので流血沙汰はそれなりに覚悟していた。
だが、背後を取ったら終わりだの押さえつけても終わりだの時間制限もあるだのでそこまでお互いの攻撃が直撃したことはない。俺が勝つときはもっぱら背後を取った時だし、理鶯が勝つのは俺を拘束したり押さえつけたりした時。俺も理鶯も自分たちで言うのは恥ずかしいが荒事には長けている。
だから直撃はしないし、重いのは受けないと思っていた。

『らぁッ!』
「がッ!?」
『あ』

が、当たってしまう事もある。手合わせだから仕方ないと割り切っていてもいざ直撃……それも体重を乗せまくった全力の蹴りが当たれば頭が真っ白になる。これが実戦で敵なら無問題だが、手合わせで敵でもなんでもない。
フリーズ中の俺の足を払った理鶯はそのまま俺を地面に押さえつけた。

「小官の勝ちだな」
『ッ!理鶯!!』

鼻から鮮血を垂らしたままそんなことを言っている理鶯に血の気が引いた。
抑えられたままではあったが腕を持ち上げようとするとあっけなく拘束は解け、そのまま理鶯に抱き着いた。

『ごめん!大丈夫か!!?』
「このくらい平気だ。受けても問題ないと判断したがあの態勢から強い攻撃ができるとは想定外だった。小官の判断ミスだな」
『冷静に言ってる場合かよ!!俺もどうせ避けるだろうと思って……』
「小官もまだまだというわけだ……それとすまない。靴を汚してしまった」
『え?』

言われて自分の靴に目を向ければ、理鶯を蹴った方の足に血がついている。もしかしなくても鼻血であろう。いや、このくらい気にしない。立ち上がりながら乱暴に顔の血を腕で拭う理鶯に倣って同じように立ち上がる。

『とりあえず、顔洗わなきゃだな』
「貴殿の靴も」
『俺の靴は後でいいから。あと手当しなきゃ………ホント、ごめん』
「……A、すまない。傷つけたな」

震える俺の手をぎゅっと握った理鶯は右の瞼にキスを落とした。
同じように左にも。あーあ、バレてる。今にも泣きそうなのも、なんで泣きそうになってるのかも。

『ごめん、理鶯』
「ん。小官は大丈夫だ」

顔に血が付いたままなのに穏やかに笑う理鶯。
それが痛々しくて思わず目を伏せれば困ったような笑い声の後に抱きしめられた。

224話 「メンズサイズでちょうどいい」→←222話 「助言通りやってるっての」



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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年5月26日 20時

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