200話 「金権力女(?)に酒」 ページ7
「あ?………左馬刻か」
パソコンの画面を睨んでいればスマホの着信音が鳴った。
画面に視線を移せば我らがリーダー様の名前が表示されており、このクソ深夜に何やらかしたんだとため息を漏らす。
無視を決め込んでもいいだろうが、後が面倒だ。やれやれと緑の丸を横にスワイプする。
「どうした左馬刻」
《Aが逃げた》
「逃げた……ってお前何しやがったんだ」
《お前にあいつから連絡ねえのか》
「ありませんよ。で、事の顛末の説明はなしですか?」
《いいから探すぞ。手伝え》
「あのなぁ……」
流石にキレてもいいだろうか。
「で、逃げられたわけですか」
「…………チッ」
「金権力女に酒……聞いて呆れますね」
「んだと銃兎ォ!」
「うるせえ!降ろすぞボンクラが!!」
左馬刻が酒を飲んでいるせいで車を運転させられ、剰えこの馬鹿のせいでビビって逃げたAを探す(それも連絡すらつかない)とかどういう罰ゲームだとイライラしながら煙草を咥える。
普段から碌でもないことをしでかす奴だと思っていたが……ったく。
巻き込まれるこちらはたまったものじゃない。
「理鶯に連絡は?」
「……」
「ま、出来るわけないですよね」
フイっと窓に顔を背けた左馬刻。言葉にしなくてもわかる。
理鶯の彼女に対する心の砕き方は俺たちとはケタが違う。理鶯の中でどういう感情の動きがあって、彼女の何がそうさせたのか………いや、彼女には何やら危険な魅力があるのだ。
強いが、脆い。美しいが、どこかに濁りがある。ひどく達観した顔つきを見せたかと思えば、次の瞬間にはガキのように笑っている。どちらでもあり、どちらでもない。
そういう人間には、まともじゃない人間が寄ってくる傾向があるのだ。
現に三人寄ってきている。
「それで、心当たりくらいはあるんでしょうね?」
「……ねえ」
「は?」
「……逃げられるとは思わなかったんだよ」
吐き捨てるように言った助手席のヤクザ。普通にショックだったらしい。
それは何か?今まで女に拒まれたことはねえっていう自慢か?それとも彼女が逃げるとは思わなかったってやつか?どっちの解釈でも腹立つからお断りだが。
「理鶯ンとこに戻ったんならアイツからなんかあるだろ」
「だろうな。でも彼女はビビって逃げた……そんな状態で察しのいい理鶯のところへ行くと思えませんが」
性格上、なにかされかけたなんて隠そうとするだろう。
しかしそれを見破るのに長けているのが理鶯だ。彼女が戻るとは思えない。
201話 「俺を迎えに」→←199話 「侵入経路=脱出経路」
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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