182話 「依頼完了したらしい」 ページ38
『……もしかしてさ、一郎もディヴィジョン代表?』
「やっぱ知らなかったんだな」
『んじゃあ、寂雷先生とかも知ってる?独歩さんとか』
「勿論」
『ですよねー』
あえて理鶯達の名前は出さなかった。
まだ一郎がMTCを敵視してんのか、左馬刻さんと何かあったのかよくわからないからだ。
『乱数も?』
「今でも仕事回してもらったりしてる」
『その乱数に言われたんだよね……話戻すけど』
「そういえば依頼だったな」
忘れてたとでも言うように呟いた一郎。ぺしっと彼の背中に回していた手で肩をはたくとまた可笑しそうに笑った。忘れてんじゃねえよ。ひとしきり笑うと一郎はぐりぐりと肩にでこを擦り付けながら聞いてきた。
「で、乱数はなんて?」
『俺に対する左馬刻さんの態度が、昔チーム組んでた仲間に見せる態度にそっくりだったんだって』
「………」
『どこぞのイケメンと重ねられてるか気になってさ。でもまあ、冗談に乗っかっただけだし、なんかあるなら全然忘れてくれ』
「あー……依頼終わったわ。報酬貰っていいか?」
『はい?』
「それ、俺」
『………ん?』
「Aが、碧棺左馬刻に重ねられてるのは、昔の俺」
ぎゅうっと苦しいくらいに腕の力を入れながら言った一郎。
不思議と落ち着いている俺の鼓動とは正反対に、早いスピードで仕事をしている一郎の心臓。
ああ、ぎゅうってされたら返さないといけないのに。俺は一郎を抱きしめるということまで頭が回らなかった。
どうにかこうにか絞り出した言葉といえばくだらないもので。
『……えっ、俺そんなにイケメンじゃない』
とりあえず一郎とのハグを解除してじいっと彼の顔を観察する。俺の右手には手鏡。
どこが似ているというのだ……確定で同じのなんて髪の色と片目だけだぞ。
『うぅん、わんちゃん前髪も似てるか?いや、俺の方が若干短い?』
「今の俺っていうより前の俺なのかもな」
正面の整った顔が喋った。
成程一理あるってことで一郎のスマホで昔の写真を表示してもらう。
画面の中には寂雷さんに飛びついている乱数、そして左馬刻さんに肩を組まれて笑っている一郎が映っていた。まだ今より髪が短い。左馬刻さんはオールバックだ。
『昔からイケメンだな全員』
「そだな」
笑っているが辛そうな表情の一郎。
ああ、きっとこれは……。向かい合っている一郎のほっぺを両手で潰した。うおー、ぷにぷにしてる。
『このイケメンには似れねえわ」
「でもお前、山田一郎亜種じゃん」
「あ、そっか」
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マカロニ - 夢野さんとの絡みが凄く楽しみです。どのように知り合うのか…。これからも楽しみにしています。 (2019年5月6日 20時) (レス) id: 9866c7f19c (このIDを非表示/違反報告)
蛇58(プロフ) - 推しってONE PIECEでの推しとかだと思った〜マジびっくり (2019年4月8日 23時) (レス) id: 0dda0db49d (このIDを非表示/違反報告)
霊夢どうふ - バイオお好きなんですね……私も大好きです。母がガチ勢です。一章の泣けるぜとあうんから察してましたけどばいおおおお((作者さんと語りたいですアシュリーのぱんつとレオンの尊さとエイダ様の美しさについて。面白いです!!更新頑張ってください! (2019年3月24日 0時) (レス) id: bd41a59bf6 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - こ、これからもお体に気をつけて頑張ってください!( *`ω´) (2019年3月23日 22時) (レス) id: 15c63c8bdd (このIDを非表示/違反報告)
椿 - も、もう…しゅき、しゅきすぎる………!(語彙力の低下) (2019年3月23日 22時) (レス) id: 15c63c8bdd (このIDを非表示/違反報告)
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