162話 「ロリポップをプレゼント」 ページ18
「ねね、ちょぉーっといいかな?」
『……え、俺?』
「うん!」
いくつか角を曲がってしまったらもう左馬刻さんと別れたところはどこか分からない。
まあ、連絡があるのは何時間後か知らないし、最悪道を聞けばいいかと納得したところで後ろから声がかかった。
丁度人も少ないところだったので、声を掛けられたのは俺だろうと判断して返事をした。返事しながら振り向いた先ではピンク色の髪を揺らしながら低身長の……俺より可愛い(たぶん)男が立っていた。
「だよね、やっぱ違うよね」
『え………なに?』
「あはっ、おねーさんごめんね!なんか懐かしい光景が見えた気がしてつけてたんだけど……僕の人違いだったみたい!僕の可愛さに免じて許して?」
きゅるんとした大きな目を片方瞑って謝る彼に少々……いや、かなり面食らう。
おねーさんと呼ばれたことで今の今までフードを被ってたな、と思い出して乱雑に外した。前髪を手櫛で適当に整える。
『人違い……ですか』
「うん!左馬刻見かけておちょくろうと思ったら懐かしい光景に似てたからさあ、こっそり尾行してた」
『えっと……左馬刻さんと知り合いなんですか?』
「ええっ!?まさかとは思うけど僕を知らないの!!?」
ショックだなあ、とワザとらしく拗ねたふりをしている彼に困ってしまう。
そんなこと言われたって俺の世界は理鶯付近の人間とキャンプを中心に回っているのだからどうしようもないのだ。
「僕はシブヤディヴィジョンのリーダー、飴村乱数だよっ!よろしくね!はい飴あげるっ!」
『あ、どうも……シブヤディヴィジョン……ってことは帝統の知り合い!?』
差し出されたロリポップを受け取り聞いたことある言葉の響きを繰り返してみる。
行きついたのは飯をたかりに来る同い年のギャンブル狂いで、その名前も出してしまえばそれを聞いた彼は嬉しそうにキラキラと目を輝かせた。
「えっ!?知り合いなの!?」
『う、うん。たまにご飯たかりに来るから』
「奇跡じゃん!おねーさん、名前は?」
『か、歌龍A』
「Aね!よーし、ステキな出会い記念にどっか行こーよ!僕、奢るから!!」
『えっ、でも左馬刻さんが……あと奢られるのは』
「いいのいいの!左馬刻はどーせ暫くかかるって!おごりは僕のポッセのご飯代ってことで!!」
丁度行ってみたいパンケーキ屋さんがあるし、と音符を飛ばす彼に引きずられるように中華街を出た。時刻は午後四時半。なんか今日……一日がなーがいんですけど。
163話 「インスタ映え」→←161話 「スマートかつ流れるように」
275人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マカロニ - 夢野さんとの絡みが凄く楽しみです。どのように知り合うのか…。これからも楽しみにしています。 (2019年5月6日 20時) (レス) id: 9866c7f19c (このIDを非表示/違反報告)
蛇58(プロフ) - 推しってONE PIECEでの推しとかだと思った〜マジびっくり (2019年4月8日 23時) (レス) id: 0dda0db49d (このIDを非表示/違反報告)
霊夢どうふ - バイオお好きなんですね……私も大好きです。母がガチ勢です。一章の泣けるぜとあうんから察してましたけどばいおおおお((作者さんと語りたいですアシュリーのぱんつとレオンの尊さとエイダ様の美しさについて。面白いです!!更新頑張ってください! (2019年3月24日 0時) (レス) id: bd41a59bf6 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - こ、これからもお体に気をつけて頑張ってください!( *`ω´) (2019年3月23日 22時) (レス) id: 15c63c8bdd (このIDを非表示/違反報告)
椿 - も、もう…しゅき、しゅきすぎる………!(語彙力の低下) (2019年3月23日 22時) (レス) id: 15c63c8bdd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ