【ヒプマイ】どこの世界でも俺が最強だと思ったら大間違いだクソボケ！！【4章】

167話　「宝石、石ころ、鉱石、石ころ」 ページ23

「左馬刻たちの事はわかんないけど、僕のことは答えられるよ」
『おう、頼む』
「僕の気に入ったってのはそのまんまの意味ね。僕はデザイナーだし、いろんな考えの人間と接するのは仕事にもいい刺激になるんだ」

パクリとパンケーキを食べる乱数。もぐもぐと咀嚼して飲み込んでからにっこりと笑顔をよこす。

「僕のもとからの性格もあるかもしれないけど、変な人好きなんだよね」
『遠回しに俺、変人って言われてない？』
「遠回しにじゃなくてストレートに変人って言ってるからダイジョブだよん」
『あ、そうっすか』
「え？変人の自覚ないの！？」
『……アリマス』
「ともかく、僕はA好きだよ？今日会ったばっかだけど、面白いし、一緒にいて楽しいし！僕の周りにはいないタイプの人だし！！」
『そっか』
「だから、僕はAのことだーい好き！」

最後の一口あげちゃうくらい！と皿の上の文字通り最後の一切れをフォークにぶっ刺して俺の口元に寄せてきた。パクリと食べる。俺のパンケーキはチョコといちごのやつだったが、乱数のはマロンなんちゃらだった気がする。栗美味い。

『ありがと……じゃあ、俺は残りやるよ』
「一口でいいよ？」
『……実は結構満腹で』
「そう？じゃあ仕方ないなあ」

とか言いつつも嬉しそうに俺の分まで食べ始める乱数。
乱数の持っているパンケーキ一口と、俺の持っているそれ。大きさは一緒でも価値は全然違う。宝石か、石ころか。
でも、んな事言ったら女子高の友達よろしくなノリの乱数に何言われるか分かったもんっじゃない。黙って彼が食べ終わるのを待った。









パンケーキ屋さんを出たのは五時半過ぎ。
一時間しか乱数といたわけじゃないのに随分と長い事喋ってた気がする。
でも五時半か……ぬうん。

「どーしたの？」
『いや、夕方に友達とイケブクロで遊ぼうって話してたんだけどさ……左馬刻さんに呼び出されておじゃんになっちゃって』
「夕方……今から行けば六時半くらいには合流できるんじゃない？」

場所によるけど、と笑顔で付け加えてくれた乱数。
二郎にLINEしてみれば【全然時間あるじゃん！！遊ぼう！！】と秒速で返信が来た。
いや入力からの既読からの返信までのスピードよ。三倍か？三倍なのか？
連邦軍のモビルスーツは化け物だったのか……。

「どうなった？」
『イケブクロ行くことになった！』
「じゃあ途中まで一緒に帰ろーよ。駅行こ！」

楽しそうにぐいぐい手を引っ張る乱数に抵抗することもなく着いていった。

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