36話 「よろしく、優しい人」 ページ39
一時の安寧を得るための一歩に、彼女はどれほどの恐怖を覚えているのだろう。一体、何がそうさせてしまったのだ。その小さい体で、何度独りで堪えて生きてきたのだろう。
認めよう。彼女は強い。強いからこそ、こんなにも痛々しく弱々しい。
「……少しくらいは信用してくれ。流石の小官も堪えるぞ」
そう言って両手を広げれば、しばらく固まった後にそろりそろりと近づいてきた。が、一定の距離から動こうとしない。ここまで来てもなおどうしたものかと思案している。困ったように笑えば、びくっと肩を跳ねさせてそろそろと小官の目をのぞき込んだ。
「全く……」
『……うわっ』
彼女の腰に右腕を、後頭部に左手をまわして引き寄せる。
緊張で固まっていた体から徐々に力が抜けて行くのを感じた。
『……理鶯さん』
「なんだ？」
『………ありがと』
「気にすることはない」
『俺なんかの為に気ィ使わせちゃって』
「………」
『ほんっとんぐッ……へ？……ぐぇ、ちょ……り、理鶯さん！？』
両腕ともAの背中に回し、じわじわと力を入れて行く。
異変に気づいたのか少しずつ呻きだしているようだが気にしない。貴殿が頑丈なのはよく知っているからな。
『く、苦し……し、死ぬって……ぐぇぇ……』
「嘘を言うな」
『ほ、ほんと……ちょ、おま、りお、うぐっ……自分の腕力と、ガタイ、考え……ぐふぅ……』
「………くくくっ」
『こっそ…り、わら、って、ぐっ……んな、アホ！』
強めにバシッと頭をはたかれたので力を抜いてやる。
急に息を吸いすぎて咽たAの背中をさすってやっていれば、弱めにまた頭を叩かれた。
『ほ、ホントに死ぬから……』
「小官が抱き殺してやろう」
『ぶっ！………あははははははは！！！なんでキメ顔で言うんだよそれ！！あははははははは！！聞いたままだと下ネタだけど、ふははは！実際、抱き殺す(物理)だろ！？ひぃ！ふははは！！』
噴き出したかと思えば思いっきり笑い出したAに少し安心する。
満足するまで笑ったのか、若干呼吸が荒いままでニッと笑いながら小官と顔を突き合せた彼女。
『ありがと！よろしく、理鶯さん！』
「ああ。よろしく頼む、A」
抱き着いてきたAを再び抱きしめながら横になった。
タオルケットを引っ張り、腹にかけてから今度は彼女の頭を撫でた。
警戒心の強い小動物を懐かせた瞬間と似た温かみを感じた。同時に、それ以上の嬉しさも。
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カルラ - ゴファッ！！ なんだこれは、、、、、 めっちゃいい！ (2019年5月22日 16時) (
レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;｀)これからもよろしくお願いします！ (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにｗありがとうございますｗ (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)
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