29話 「仲間と同居人、天秤にかけるなら」 ページ31
男が棒を振り下ろしてきた。最初の一撃はどうにか躱せるが、追撃と別の男の蹴りは躱すことが出来ずにもろに受けてしまう。
痛みでマイクによる干渉が少し抜けたのか、無理にでも足で踏ん張り、距離を取ろうとしたが………
「逃げれると思ってんのかァ！？」
『がっ…はっ……クソがッ……うぐ……』
マジで質が悪い。自分の意思じゃどうにもならない脳髄に響く音に悪態をつく。右の脇腹に鈍痛が走り、蹴られたことを悟るが、残念なことに頑丈な俺の身体はこのくらいじゃ意識は飛ばない。息が詰まって咳き込めば、マイクを通した笑い声が響き、別の吐き気が襲う。
「おい殺すなよ。こいつで強請る手筈だろ」
「あぁ？痛めつけるくらいいいだろ。そのくらいしねえとあのお堅い軍人はマイク渡さねえよ」
『ま……いく？』
昨日の夜に毒島さんが言っていた。
仲間とマイクを使って戦っていると。すごく嬉しそうな声だった。背中を向けていたから顔は見えなかったけど、きっと優しい顔をしていたのだろう。仲間……俺は、毒島さんを仲間から引き離すわけにはいかない、戦う術を奪ってはいけない。俺のせいでそんなことになってはいけない。
さっきの騒動で近くに偶々転がっていた魚を捌くためのナイフ。手を伸ばせば届きそうだ。
『ふ……ぐっ……』
あと少し……もう少し。
ナイフの柄の部分に指が触れた時、その腕を踏みつぶされた。痛みに声を上げれば、マイクを手にのぞき込んできた男が笑う。
「残念でした〜……死のうと思っただろ？」
『くそ……が……………ああああああああ！！』
「あれ？ナイフが欲しかったんじゃねえの？」
揺れる視界で男に悪態を吐けば、右手に鋭い痛みが走った。叫びながら目に入ったのは手の甲に突き刺さったナイフ。痛い、殺す、痛い、ごめんなさい、痛い、痛い、殺す、ごめんなさい、嫌だ、嫌、嫌、いや、ごめんなさい、ごめんなさい、俺のせいで、俺の、私の、私が！！！！
「……そこまでだ」
低い声が聞こえた。
知っている声、でもこの声がこんなに怒りを露わにしているのを聞いたことはない。
男たちの隙間から見えた彼の……毒島さんの姿。俺が見ていることに気づいた毒島さんは、一瞬だけふわりと笑った。
「もう少し辛抱していてくれ」
が、すぐに表情を無に戻した毒島さん。マイクの起動音がする。
他の男たちも身構えたようだったが、毒島さんの方がはやかった。
「小官を怒らせたことを後悔するといい」
俺の意識はぷっつりと途切れた。
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カルラ - ゴファッ！！ なんだこれは、、、、、 めっちゃいい！ (2019年5月22日 16時) (
レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;｀)これからもよろしくお願いします！ (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにｗありがとうございますｗ (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)
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