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19話 「どっちだって命懸け」 ページ21

夕飯の準備やら何やらをしていればもう暗くなりはじめ、完全に暗くなるのと同時くらいに夕飯が完成した。味はとてもおいしかった。肉は多分イノシシ肉なんだろうけど、他の食材は聞かないことにした、考えないことにした。考えたら負けである。
そしてドスの事も何も言われなかったのでセーフということだろう。気づかれてない模様。

「さて、食事の片づけをしてくる」
『あ、はーい。手伝います』
「大丈夫だ」
『でも、世話になってばっかじゃ悪いですから』
「ふむ……ならば薪を頼んでもいいか?」
『了解です』

ストックも切れかけているらしく、少し離れたところにあるらしい薪置き場を目指す。
銀を肩に乗せて歩いている。ただ歩いているわけではない。ガサガサと大きめに音を立てながら森を進む。これは勿論態とだ。

『銀………右斜め後ろ。足音か?』
「………キュ」
『複数人?』

テシッと首筋を一回前足でたたく。これはYESだ。
小さい声で礼を言えば、もう一度首筋を叩かれた。音もなく木刀に変身した銀を右手に握る。
前方からも向かってきている気配。こつんと足に当たった大きめの石を拾い上げポケットに忍ばせた。

『ふっ、ほっ』

なるべく音をたてないように木の上に登る。
息を殺していれば、俺らが来た方向からと進行方向から複数人の男たち。
大ぴらな武器はやはり持ち合わせていないらしく、バールのようなものやら木の棒やら……それこそ短いナイフを手にしている。

「ッ!お前らか」
「逆から狙ってたんじゃねえのかよ」
「いや、確かにさっきまでこの辺りから進む音がしてたぞ」
「俺たちもそう思ってここにいんだよ」
「チッ……女を先に殺るつもりだったが……先にミリタリー野郎にしとくか?」
「だな。そのうち女も戻ってくるだろ」

ミリタリー野郎っていうのはもしかしなくても毒島さんのことだろう。昼間の奴らが装備を整え戻ってきたというわけだ。やっぱ戻ってこれなくなるまでシメときゃよかった。今更そんなん考えても後の祭りなんすけど。
静かにポケットから石を取り出し、少し前方に投げる。
茂みに当たったそれはガサガサと音を立てた。勿論、男たちはそこに俺がいると思い込み、警戒しながら音のした方へ向かっている。俺からすれば、背中がガラ空きなわけで。

『さて、やるか』

「狩られる側も狩る側も命懸けだ」と、昼間の毒島さんが言っていたセリフがリフレインする。殺るつもりなら、殺られるつもりもできてるって事でいいんですよね?

20話 「武蔵坊弁慶を超えて行くスタイル」→←18話 「こちらは俺の相棒であるからして……」



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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作戦隊長 | 作者ホームページ:tp://  
作成日時:2019年1月6日 21時

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