17話 「カッコいいヤツは欲しくなるから仕方ない」 ページ19
罠にかかっていたのは猪だった。う、うお……デカい。
毒島さんが近づくと毛を逆立てて牙を鳴らしている。ふ、普通に怖いな。
「猪は臆病な動物だ。猪の方から寄ってくることは少ない」
『は、はあ』
「だが至近距離で鉢合わせた時や繁殖期などは要注意だ。こいつらの牙はちょうど人間の太もも程の高さにあるからな。場合によれば失血死する」
『そりゃ、猪側も必死だろうですしね』
「その通り……狩られる側も狩る側も命懸けだ」
すっと目を細めてナイフを出した毒島さん。
俺は目を逸らすことをしなかった。
暫くその光景を眺めていれば、頬に血を付けた状態の毒島さんが振り返った。
「すまない。湯を沸かしていなかった。頼めるか?」
『あ、はい』
ライターがある場所やら何やらを教えてもらい、そのまま元来た道を戻る。
毒島さん、慣れてたな……すげえな。俺もああいうの修得したら今後楽なのかもな。
んな事を考えながら歩いていれば意外とさっさと到着した、考えこみすぎだろ。
『えっと、確かテントの中の袋にライターあるっつってたよな……』
ゴソゴソと袋を探る。全部出したほうが早いかな?なんて考えていれば自分がつけている指輪と金属の何かがぶつかる音。おお、あった。テントから出て、薪を回収してから火をつける。はぁ……前は自分で出せてたんですけどねえ。人間楽を覚えるとよくない。
自堕落かよと笑っていれば、人の気配。それも数人。
「あぁ?あの軍人野郎じゃねえじゃねえか」
「ねーちゃん、あいつの知り合いか?」
『……あんたら誰?』
「俺たちはなァ……まあ言う必要もねえか。ちょいと人質になってもらうぜ」
「こいつがアイツと関係あるとは限らねえだろ」
「そんときゃ捨てときゃいいだろ。おら、大人しく従えよ」
ナイフ……こういうのはドスというのかな?ヤクザとかがドラマとかでよく持ってるアレ。それを突きつけられる。………というか武器は全部排除されたっつっても残ってるもんなんだなあ、なんて。勿論突きつけられたそれをちらりと一瞥した俺はツカツカとそいつに近寄った。
「そうそう、大人しく」
『舐めるなよ』
ガッとドスを持った腕を掴み、そのまま捻り上げる。痛いと叫びながら力が抜けた男の手からドスを奪い取り、背中を蹴り飛ばす。クルクルとペン回しのようにドスをまわして得意げに笑ってやった。
『このカッコいいヤツは貰いまーす』
18話 「こちらは俺の相棒であるからして……」→←16話 「トラップ発動!!」
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カルラ - ゴファッ!! なんだこれは、、、、、 めっちゃいい! (2019年5月22日 16時) (レス) id: 92a66c530f (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - たぬきなたぬたぬさん» ありがとう……ございます……(´;ω;`)これからもよろしくお願いします! (2019年3月2日 13時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
たぬきなたぬたぬ - ほんとに.....なにこれ......すき.......。 (2019年2月26日 21時) (レス) id: 83afc62697 (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - だまこさん» 理鶯推しがここにwありがとうございますw (2019年2月18日 18時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
だまこ(プロフ) - 理鶯が1番好きなんじゃあ (2019年2月18日 17時) (レス) id: 3c83364c40 (このIDを非表示/違反報告)
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