切裂き王子の恋3 (ページ33)

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偶然と運ページ33

ジルがうろたえている隙に、Aはジルが先程投げて来たナイフを拾い上げる

そして…力一杯投げた

ナイフはスタンッと高い音をたて、ジルの服ごと壁に刺さった

A｢この隙に逃げましょう獄寺さん｣
獄寺｢あ、あぁ…｣

ジル「帰さねぇって言ったろ…んあ!?」

Aが、刺したナイフを引き抜こうとして、ジルは驚きの声をあげる

なぜかナイフが壁と服から抜けないのだ

理由はAが火かき棒で弾き飛ばした時に…ジルのナイフは酷く刃こぼれを起こしていた

それにより、ノコギリの刃のようなセレーションが壁と服の繊維に引っかかり…簡単には抜けない

時間稼ぎには充分というわけだ

A｢獄寺さん、血が…｣

獄寺｢こんなもん大したことねぇ。それよりお前、なんで山本の技が使えるんだよ!!それにさっき投げたナイフも…｣

A｢山本さんのは…日本に来た日にお寿司をご馳走になる前に…1度だけ目の前で拝見したことがあって…。見よう見真似で、偶然運良くナイフを弾けたって感じで…｣

獄寺｢はぁ!?何言ってんだ…アレは偶然とか運良くとかで出来るわけねぇだろ!!｣

Aはそんな事を言われても…という顔をする

獄寺｢ナイフだって!｣

A｢アレは…ベル様がよくフラン様にナイフを投げているのを見ているので(笑)｣

獄寺｢見てるのでって…随分とコミカルに言うじゃねぇか…｣

A｢ベル様よりナイフの投げ方が単調で助かりました｣

獄寺｢そ、そうなのか…｣
A｢そんなことよりも…｣

オルゲルト｢さっきは取り逃しましたが…今度はそうは行きませんよ｣

Aと獄寺の前には、ジルの執事が仁王立ちしていた

獄寺｢チッ…しつけぇな｣
獄寺はAを後ろに隠す

獄寺｢ここは俺が何とかする。お前はその間に逃げろ…そろそろベルフェゴールが来る頃だろ｣

A｢こんなケガしてるのに無茶です!!｣

獄寺｢ふざけんな…女に助けてもらってばっかじゃ10代目の右腕としての俺のプライドが許さねぇんだよ!!｣

A｢こんな時にプライドなんかどうだっていいです!!｣

オルゲルト｢そんな喧嘩をなさる必要はありません。なぜなら、お二人ともお通しするつもりはありませんからね｣

獄寺｢行け!!｣
A｢嫌です!!｣

獄寺｢ふざけんな!!死にてぇのか(怒)人が死ぬところすら…ろくに見たことねぇ奴の手なんか要らねぇんだよ!!それが証拠にお前さっき投げたナイフはアイツを仕留める気が無かっただろ!!｣