切裂き王子の恋3 (ページ20)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:60,921 hit

告白ページ20

ベル｢Aも疲れたよな…今日は大人しく部屋に戻ってカエル殺すわ｣

A｢殺しちゃダメです(苦笑)｣

その言葉にベルの表情が変わる

ベル｢なぁ…Aはさ、オレが…VARIAが暗殺部隊…ってことについて…どう思う？｣

突然真面目な声のベルの問いかけにAは硬直する

A｢え？｣

ベル｢人とか…殺しちゃうわけじゃん？｣

A｢…｣

ベル｢まだAが見たことないオレが…いたりするんだよ｣

A｢正直…少し怖いです｣

ベル｢怖い…ねぇ｣

A｢ベル様やVARIAの皆さんがケガをしたり…死んでしまわれるのは…嫌です｣

ベル｢そっか…｣

ベルはAの頭にポンと手を置くと部屋を出ようとする

A｢でも…!!｣

ベル｢ん？｣

A｢でも…私も、もう暗殺部隊の一員です。スクアーロ様にも覚悟しろと言われました…私は…｣

Aが言い切る前に、ベルは口を挟んだ

ベル｢オレは家族を全員殺したんだ…まとめてぜーんぶな。双子の兄なんてゴキブリと間違えて殺した｣
A｢!?｣

ベルが笑いながら…あっけらかんとそう告げれば、Aの顔は引き攣る

ベル｢オレは8歳でVARIAに入隊した生まれながらの、殺しの天才…切り裂き王子だ。だからこれからも沢山のヤツを殺ると思う｣

A｢はい…｣

Aが小さく相づちを打てば、ベルは少し寂しそうに笑った

ベル｢そんなオレの事…嫌いにならないで｣

A｢でも、私がいたら足でまといになるのでは…｣

Aの不安そうな顔に、ベルは笑顔になる
…でもその顔は普段よりもずっと真剣で、真っ直ぐなものだ

ベル｢大丈夫。Aだけは…オレが命懸けで守るから｣
A｢ベル様…｣

Aが悲しそうな声を出せば、ベルは少し気まずそうに後ろを向いた

ベル｢こんなつまんない話してごめん…おやすみA｣

そう言ってベルは襖を開けて部屋を出る

A｢ベル様…おやすみなさいませ｣

ゆっくりと襖が閉まりきった時…Aはその場に崩れ落ちた

A｢暗殺部隊…私の見たことないベル様やVARIAの皆さん…｣

Aは自分の考えがどれだけ安易だったかを思い知らされた

そして…Aが彼らのことを、なにも知らないという事も

知りたいと思う反面、それを目の当たりにした時…果たして自分は受け入れる事ができるのだろうか

A｢でも…それでも私は皆様と居たい｣

例えそれが、他人から疎まれる行為だったとしても

AはVARIAに居たかった