11話 ページ29
｢来た、イプシロン！！｣
イプシロンとの再選の日になった。
｢本人からの申し出を受けて、浦部リカさんをチームに迎えることになりました。｣
｢よろしくな！｣
｢よーしっ今度こそ勝つぞ！！｣
｢僕が、点を取らなくちゃ…｣
この時は誰もが甘く見てた。勝てると思ってた。
のに、そう上手くはいかないのが現実だった…
｢ワームホールを破ったと思ったのに…！｣
｢まだ、あんな技を持ってたなんて…。｣
｢もっと、もっとだ！私を楽しませろ！！｣
エターナルブリザードでワームホールを破ったと思った。これで勝てると。けど、デザームはその上の技、ドリルスマッシャーを使って吹雪の一撃を止めてしまった。そして、
｢次に会う時はもっと楽しませてもらうぞ。｣
いつもの如く、勝手に帰っていった。
この時は
まさかこの試合が、士郎とアツヤのバランスの崩壊になるなんて思いもしなかったんだ。
｢ごめん僕何の役にも立てなかった…！｣
｢そんなことないさ！ワームホールを破ってくれたじゃないか！！｣
｢それじゃ、ダメなんだよ！！｣
｢えっ？｣
｢っ、ごめん顔、洗ってくる。｣
『士郎？』
｢ごめんね、大丈夫だから。｣
そう言って私の頬を撫でるとどこかへ行ってしまった。
何が大丈夫なのか、何に対して謝ったのかこの時の私には何もわからない。
｢…心配か？｣
『わっ、有人か…それは、まぁ心配だよ。』
あんなに辛そうで
｢お前があいつを心配してるのは、もっとほかの理由があるんじゃないのか。｣
『他の？何言ってるの、可笑しいよ？』
｢可笑しい、か。はは、そうかもしれないな。すまない。｣
自傷気味に笑って目をそらされた。
『有人さ、私の事何か知ってるでしょ』
｢っ、なんの事だ。｣
『嘘つくと早口になる癖、直しなよ。』
ビンゴ
｢まだ、言えない。｣
『そっ、か。仕方ないねうん。』
｢一つ言えるとすれば、お前は今まで通り過ごしていればいい。｣
今まで通りねぇ
『わかったよ。そう言われちゃお淑やかな子になろうなんて思うのやめるね。』
｢お前にお淑やかは無理があるだろう。｣
｢喧嘩売ってる？買っちゃうよ？｣
いつもみたいに笑って試合後を過ごした。
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作者名：りぃん | 作成日時：2017年4月1日 1時
