File.3 衝撃の事件 ページ10
こうちゃんの後を追い、着いたお店はいかにもって感じのお洒落なお店。
なんか、私浮いちゃうんじゃない？。
｢ねえAちゃん。｣
『…はい？』
突然山本さんに名前を呼ばれる。
なんだろ、ちょっとドキってした。
｢勘違いされてそうだから言っとくね｣
｢僕が一緒にご飯食べたかったの、Aちゃんだから。｣
『へ、』
なんだそれ。
なんて言うんだろうか。
その、勘違い、してしまいそうだ。
何と返せばいいか悩んでいると、ブンっとこうちゃんが振り向き、
｢僕とはご飯食べたくなかったってことですか！｣
と言う。
確かに、今の言い方だとそう捉えられても仕方ないよね…
チラッと山本さんの方を見ると、なんとも余裕そうに ははっと笑って、
｢こうちゃんとは嫌というほど食べてるじゃん。｣
｢まあ確かに｣
一緒にご飯を食べるような関係なんだ。
なに？付き合ってたりする？
これ実は私めっちゃ邪魔者？
『お二人は、仲良しなんですね…？』
｢大切な仲間だからね。｣
『仲間、ですか、』
仲間。
素敵な響きだなぁ。
学生時代の私に、仲間、と呼べる人はいただろうか。
･
･
･
うん、いなかった。
｢ねーA、山本さんすごいんだよ。｣
『例えば？』
｢QuizKnockってほぼみんな東大生なのに、1人だけ早稲田生なところ？？｣
『へぇ………え？』
ちょっと待て。
どこから突っ込むべきなのか教えて欲しい。
QuizKnockはほぼみんな東大生…？
つまりこうちゃんは東大生だと。
そして山本さんは早稲田生。
なんだと…？
私はすぐ近くの私立の法学部に行ったのに。
『その、すごいね、2人とも。』
｢とは言っても僕は高校からエスカレーターで行ってるから。｣
『いや、それはもうマジモンのエリートじゃないですか。』
｢でも、Aちゃん、こうちゃんより成績上なんでしょ？｣
『それは中学の話です！高校時代は全然努力をしなかったので…』
もう頭の中が真っ白で何も考えられない。
私もの凄い人と一緒にいるんだね、
すごい。
え、なんて言えばいいんだろう。
すごい。
やっぱり、努力をすれば上に行けるもんなんだな。
色々考えていると、呼吸の仕方も忘れそうになり始めた。
とりあえず、深呼吸をしよう。
うん、心を落ち着けよう。
料理届いたし、早く食べよう。
うん、一旦忘れよう。
『いただきます！』
かなり大きな声で言った。
それからなに話したかなんて覚えてない。
仕方ない。
だって頭が回転しなかったんだもん。
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作者名：Karen | 作成日時：2020年4月26日 23時
