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素の優しさ、だったり。 ページ15

Aサイド

「おはようございます、お願いしまーす」

朝、顧問から部室の鍵を預かり扉を開ける。
まだ部員は私しか来ていない。まぁいつもの
ことだよね。先輩ら時間ギリギリに来るし。

「さて…」

家にいても正直やることないから、私は部活の
開始時間の2時間前に来る。だからりょー先輩も
いないし、1人で歩いてきた。

「…今日はこの音楽にしよ、」

音楽を流してストレッチを開始した。


_「よし、アップ…!」

アップも兼ねて振付を体に染み込ませる。構成
を考え直したから少し動きを慣らさないと。

「…っ、1人サスの動き…不安やなぁ…」

やはりここの動きが苦手かもしれない。幼い頃
からダンスを習ってきた。だからわりと基礎は
なっている方だと思う。けどそれでも難しい。

「…もっかいっ…」

『休憩挟まんと倒れるで』

「っ!?」

ふらついた足元。ふと声がした方を向く。

「…早いんですね、西浦さんっ…」

K「まぁ言うて30分前やけどな」

もうそんなに時間経ったのか。早いなぁ…。西浦
さんが来なければ気づかなかったかもしれない。

K「何時からやっとんの?」

「…7時くらい…ですかね、」

K「は!?2時間前から来とるん!?」

「まぁ…いつも、そうですけど…」

先輩たちからしたら当たり前なのかもしれない
けど、西浦さんからしたら新鮮だよね。

K「ぶっ通しで踊ったんやろ、その様子だと。」

「1人サスの、ところ…不安、なので…」

なんだろう。結構激しい振付で、通しで繰り返
してたからかいつもより余裕がない。そう考え
てる余裕もなく、体がぐらんと傾いた。

K「っ…!ほら、休憩挟みぃや。」

「はっ…ごめっ、っ…」

倒れそうになった体を西浦さんに支えられた。

K「無理に喋らんで。この体勢のままでええから
少し落ち着くまで休も?大丈夫、おいで。」

私は縦に頷いた。よくよく考えたら私、西浦さ
んに抱きつく形になっているではないか。なん
て失態をおかしているんだ。でも仕方ないよね。

K「とりあえず座るで。呼吸落ち着いた?…まだ
少し辛そうやな…落ち着いたら飲み物飲も。」

西浦さんは背中をさすってくれる。そのおかげ
もあってか、だいぶ呼吸が正常に戻った。

「…ごめん。迷惑、かけて…」

K「こら。ごめんちゃうやろ。」

私の両頬をぎゅっと挟まれる。でもその手は、
表情は、とても優しい気がした。

「…ありがとう。」

そう言うと、彼は満足そうに微笑んだ。

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設定タグ:SLH , KARASU , 踊り手   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:まい | 作成日時:2020年10月14日 17時

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