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「───全く。」
悔しそうな顔をする男達は大人しく食堂から出ていった。
ひと仕事終えたリドルは未だに自分に背を向け立ち尽くすAを怪訝な顔で見つめる。
「君。名前は分からないが、僕は何かしてしまったのかな。」
少し怒気を孕みながら言葉をかける。
それはそうだ。リドルからすれば、困っている新入生を助けただけ。なのに何も動かず自分に背を向け続ける。
それはつまり
──────明らかな拒絶反応。
(こんなこと、厚かましいが僕が助けなければどうなっていたか。)
感謝こそすれ、この態度は不愉快極まりない。
「聞いているのかい!」
リドルの中で段々と怒りが蓄積されていく。
しかし、リドルの言葉を聞く度、怒りを感じる度にAは安堵していた。
(炭治郎はこんな、助けた相手が少し無視するくらいで怒らない。むしろ心配が勝ち、無理やり私の顔を見に来るはず。そうよ。違う。違う。)
しかし、そう思えば思うほど、感じる孤独感。
助けてくれた相手へ感謝しなければならないのにこのような態度しか取れない自分への嫌悪感。
自分の考えが間違えていて、振り返ればあの太陽の子がいたとしたら?
(だとしたら私は、)
「っ、いい加減に、!!」
リドルがマジカルペンを光らせた時だった。
「ああ、いたいたリドル、って何だこの状況!?」
「トレイ…」
落ち着けよと言いながらリドルのそばに駆け寄る、長身で少しケーキのいい匂いを纏う男、トレイ・クローバー。
リドルの幼なじみにして同じ寮の副寮長を担っている。
その後ろからはエースとデュースが一緒に顔をのぞかせていた。
「え、あれAじゃん!こんなとこで何して、てか何があったの!?」
「カシラと喧嘩でもしたのか、?」
リドルが軽く状況を説明し、今朝の様子と違うAに2人は首を傾げた。
「あ〜、A?大丈夫そ?」
エースが肩をAの首にかけ、顔をのぞき込む。
ちらりとエースを見るその顔。
『っゆうさん、は?』
エースはぎょっとした。
「は!?え、ちょ、本気で大丈夫かよ!!」
デュースにユウ呼んでこい!と叫び、エースはAの背中をさする。
見知った顔が来たことで、Aは少し安堵した。
それと同時に足から崩れ落ちる。
「寮〜長〜?」
エースが訝しげな顔をする。
「な、僕は何もしていない!ただ助けただけで、少しは怒っ
たが…」
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もち - パスワード教えて下さい! (4月30日 16時) (レス) id: c437dd3dfc (このIDを非表示/違反報告)
春雨 - デュース•スピード君って誰だろうなぁ……読ませていただく上でどうしてもキャラクターの名前の誤字は気になってしまい…修正頂くと助かります。図々しいことは承知の上ですが、デュース最推しの身としてはどうしても…👉🏻👈🏻 (1月9日 10時) (レス) @page8 id: 714c56ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
名無し8170号(プロフ) - こちらこそ急かしてしまってすみません!楽しみにしておきます! (2023年1月6日 0時) (レス) id: 2ec25da7f3 (このIDを非表示/違反報告)
ロールキャベツ(プロフ) - 名無し8170号さん» もったいないお言葉ありがとうございます!!!そして、誠に申し訳ないのですが、今現在話の手直し中なので先の作品はまだ公開出来ないのです。。。申し訳ございません。。気長に待ってやってくれると嬉しいです。。。 (2023年1月5日 9時) (レス) id: 78078ab0b8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し8170号(プロフ) - 今さらながら作品読ませていただきました。ストーリーがとても好きで続きがとても気になっているのですがパスワードがかかっていて教えていただくことは可能でしょうか? (2023年1月2日 16時) (レス) @page17 id: 2ec25da7f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Karaichi88 | 作成日時:2020年5月28日 22時