【文豪ストレイドッグス】元.ポートマフィアの指導者 part 7

佰漆拾弐頁─決戦 9─ ページ39

「そう云えば、フルール君は...？｣




フィッツジェラルドとの戦闘で周囲への注意が分散して気付かなかったが近くに彼の姿は見当たらない。

今思えば何故闘う気が無いのに此処まで着いてきたのかが謎だった。

制御端末を奪うためにフィッツジェラルドの部屋を訪れたときもだ。

彼はずっと外を......否、下を、ヨコハマの街を見ていた。


どうして？

この白鯨がヨコハマに落ちるのが怖かったから？

それなら僕等の闘いに加わり、少しでも早く端末を奪えるように動くのが正解だと思えてならない。

無意識に端末を握る手に力が入る。

その時、白鯨がガクンと大きく揺れた。




「！？｣




あまりにも突然の事に僕は心臓が一つ深く波打ったのを強く感じた。

慌てて手の中の制御端末に目を移す。

画面に表示されていたのは、[DESCENT]の文字と下向きの矢印だった。




「下降！？そんな莫迦な！何もしていないのに！｣

「寄越せ｣




僕が驚きに襲われている中、芥川が強引に端末を奪い取った。

カチカチと先程は確かに機能した釦を何回も押しているものの、今回はそうではないように見える。

その証拠に芥川の表情は険しいままだ。





「操作を受け付けぬ｣





芥川は乱暴に端末を床に投げ捨てる。

壊れることを気にしていないその扱い方は、もう既にそれを唯の金属の板として見ているということを示していた。

何かを呟き、此方を冷たく一瞥してから無言で梯子へと走る。

一瞬遅れて芥川の向かう先に気づいて僕も急いでその後を追った。

佰漆拾参頁─決戦 10─→←佰漆拾壱頁─決戦 8─

ラッキーカラー

あずきいろ

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す