佰陸拾伍頁─決戦 2─ ページ32
「たった一度の稽古でそれか。ますます貴様に敗れたことが悔やまれる。それも生きて良い理由を他者に求めるような下らぬ輩に」
「確かに僕は愚かで下らない。でも、お前みたいな力を誇示したいだけの殺人鬼より百倍ましだ!」
二人だけしか居ない密室空間。
昇降機内ということも相まって大きく反響するそれに、芥川の顔から表情が消えた。
そして僅かな静寂の後、彼は静かに口を開く。
絞り出された言葉は酷く冷たかった。
「...何だと?」
「違うか?力も地位も十分有るのに、その上更に怖がられたいから闘うなんて、その方が余程下らない!」
感情を隠すことなく、敦は自らの気持ちを叫ぶ。
この状況下で云うそれに偽りの色は見えない。
たがあまりにも勢いのあるそれは、相手の或る点を越えさせるには充分すぎるものだった。
「!!」
刹那、敦の躰に押し潰されそうな程の痛みが襲った。
彼が気づいた時にはもう既に躰は壁に押し付けられた状態であり、一瞬自分自身に何が起こったのか理解が追いついていなかった。
「取り消せ」
敦を襲った痛みの原因は芥川の異能力«羅生門»によるもの。
その暗く重い声に敦は思わず躰を強ばらせる。
芥川の顔には明らかな怒りが現れていた。
「僕が“力も地位もある”だと?貴様を“不快だ”と云った理由を教えてやる。それは貴様が
反論を許さぬ気迫。
敦はそれを言葉無しで聞いていたが、彼の云う一つの点に引っ掛かりを覚えていた。
「(何?僕が────何だって?)」
「異能に恵まれ、出会いに恵まれ努力もせず、ただ運だけで太宰さんに認め讃えられながら!貴様はその幸福にも気づかず、己の悲劇ばかりに浸る愚物だからだ!」
敦の抱いていた疑問を吹き払うその決定的な固有名詞に、彼はハッとして今まで芥川が云っていた言葉を思い出す。
「あの人にあのような言葉、二度と云わせぬ!」
「戦果なき限り、あの人は僕を認めぬ」
ようやく繋がった芥川が云う“あの人”。
すらすらと解けていく疑問の縄。
必然的に敦の表情は変わっていた。
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まんじゅうねこ(プロフ) - 煉華☆さん» ゲームでの名前は其の侭「まんじゅうねこ」です!ありがとうございます! (2018年11月2日 17時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - まんじゅうねこさん» 初めまして、こんにちは(*^^*) フレンドは大丈夫ですよ!「4555 8960 3456」←こちらでいけると思うので、ゲームでの名前を教えていただけると助かります。コメントありがとうございました! (2018年11月2日 17時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
まんじゅうねこ(プロフ) - すいません、文マヨのフレンド申請を送っても良いでしょうか……。 (2018年11月2日 16時) (レス) id: 5748b81071 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - ありがとうございます!風花楓音で申請しました! (2018年9月30日 10時) (レス) id: cdcff714b1 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - のんさん» こんにちは!大丈夫ですよ(*^^*) コメント欄にIDが書いてあるので、申請して貰えたら嬉しいです。 (2018年9月24日 14時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/renka_kazetani
作成日時:2018年7月14日 17時