Story 6. ページ7
「……付かぬ事を聞くが、貴族の者か?」
「…………? えっと……貴族と言いますか……」
世間一般的に貴族と呼ばれるほど豊かな家庭ではない。どういうべきか困ったAは、助けを求めて颯太と目を合わせる。
一方、颯太は彼女と目を合わせた後、再び凪斗へと視線を戻して彼の問いに答えた。
「貴族という枠の中には無いけど、彼女は良家の子女だよ。けど……、それがどうしたっていうんだ?」
何故、いきなりそんな質問をされなければならないのだろうか。ここまでのほんの少しの会話でそんな前触れなど全く無かったし、いざ頼みごとをしようとしているところで、これが重要な話だとも思えない。
しかし颯太が答えるのを聞いた凪斗は、“やはりそうか”と言わんばかりの微妙な顔つきを見せて。
「俺からはどう見ても、二人の関係が主とその下僕のようにしか思えなかったのでな」
「げ、下僕っ……!?」
皮肉か否や、手元のバインダーに挟まれている紙に何かを書き込みながら返された言葉には、思わず声を上げかけた颯太。今まで、自分達の間にそのような認識があった覚えが無かった故の反応だ。
もしそのように見られても間違いないような関係が彼らにあったなら、きっと颯太は余計なことを口走る凪斗を睨みつけるばかりの様子を見せただろう。
ただ、驚いて肩を竦めていた彼は凪斗を見て、はっと何かに気づいた様子で顔つきを強張らせると、勢いよくソファから立ち上がり、今度こそ声を荒げて言う。
「まさか貴様、そのような事でこちらを非難する訳ではないだろうな!?」
「…………」
立ち上がった颯太と、ソファに腰掛けたままの凪斗が睨み合う。熱の入った睨みを利かせていたのは前者だけで、後者は単に冷やかに颯太を見上げているだけだった。
「……待ってください、颯太」
「…………!」
怒りを覚えていた彼の心を静まらせたのは、そんな彼の片手にそっと触れたAの声だった。下手をすれば一触即発ともなり兼ねなかった場面で、彼女の声は変わらずに穏やか。
我に返った颯太は彼女の顔を見て、彼女が困ったように笑っていた事を知る。そしてAは、颯太の手に触れていた片手を下ろしながら凪斗に向けても言った。
「──確かに颯太は私に仕えてくれていますが、私達は単なる幼馴染ですよ」
「…………そうか。要らぬ事に首を突っ込んだな。……ま、自覚があるだけマシか」
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
