Story 5. ページ6
応接間の奥には、小さくはないが大きいという訳でもない本棚に、本や、単に紙束だったりファイルだったりが段ごとに分けて入れ込まれている。
恐らく探偵という仕事柄、今までに解決して来た事件や参考資料等があるのだろう。手前の方には、三つのソファに囲まれてテーブルが設置されている。
Aと颯太は、扉から入って右側にあった窓際にくっつけるようにして置かれているソファから、反対側のソファに腰掛けた。
この二つは二人掛け用の大き目な椅子で、その片方に座った二人から見てテーブルの左側(もとい部屋の奥にある本棚の手前)に、一人掛け用のソファがある。
「──あれ、もしかして表彰状かしら?」
ソファに座って辺りを見渡していたAの視界には、目の前にある窓側の壁に掛けられていた額縁。彼女の声につられて颯太も視線を向けると、確かにその中には表彰状が入っている。
「そのようですね。……どうやら、この街の守護団体から称えられ、公式に授けられた物のようですが」
「何を称えられたのでしょう」
「さあ……、そこまでは表記されていないようです」
「──事件を解決してきた数を、だよ」
辺りを見渡していた二人が、じっと前方の表彰状に書き込まれた文字を見つめて言葉を交わしていたところに、三人目の声が割って入って来た。
突然、扉の方から投げ込まれた言葉に驚いた二人は肩を竦めて右手の方を振り返る。
「あっ、初めまして──」
「……凪斗というのは、貴方の事でしょうか?」
慌てて小さく頭を下げて挨拶をしたAに颯太も倣い、続けて問いを投げかけた。いつの間にか扉の許に立っていた男が、そんな二人の姿を視界に入れ、窓側にあるソファへと歩み寄りながら応える。
「──ああ、俺が凪斗だ。もちろん、お前達は俺が探偵だと知ってここへ来たんだろう?」
「はい。貴方にお願いしたい事があって来ました」
頷いて答えるAと、その傍らに座る颯太の目の前の椅子に腰かけた、“探偵”を名乗る“凪斗”。彼はテーブルに置かれていたバインダーを手にしながらまた口を開く。
「まず名前を聞こうか」
「私はA。こちらが颯太といいます」
さほど好意的でない淡々とした声にも戸惑わず、いつものように愛想の良い笑みを浮かべ、自己紹介を済ませたA。こちらを見る凪斗の赤い瞳は、彼女の方をじっと鋭く見つめている。
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
