Story 1. 「始まりの都市」 ページ2
〜･･〜･･〜･･〜
──ふと、長い夢でも見たかのような妙な感覚に襲われるのだ。
そちらに意識を向けると、もう二度と戻れなくなってしまいそうな漠然とした不安感に駆られて、その度に我に返って目の前に広がる景色を見やった。今し方も同じ事が起こり、身体に吹き付ける穏やかな風が、彼女の意識を現実に引き戻させる。
「…………もうじき到着致しますよ、A様」
絶えることなく聞こえて来る僅かな機械音と共に、男のものの声が飛び込む。開け放った窓から吹き込む風を受けていたAは、彼の方を振り返って言った。
「ええ、颯太。……ありがとう」
彼等が乗るのは、地上用の船。ただし、地上から数十メートル離れて緩やかに飛ぶ船だ。クリスタルの力を利用して飛び続ける船の中には、幾つもの船室が並んでいる。室内で淡く輝く光源すら、クリスタルの力によるものだ。
その船室の中の一つに入って来た颯太は、Aの後ろ姿を見ながら、先ほどのように呼びかけていた。
「──まさか、颯太まで一緒に来てくれるだなんて思いもしなかった。どれだけ長い旅になるかも、わからないのに……」
「それが俺の役目ですから」
──家庭内で如何なる問題が起こったとしても最優先事項は、主であるAの身を守る事。そして見守り続ける事。
両親はAに多大なる愛を以て、幼い頃から御付き役の颯太を共にさせていた。信頼を築いて来た彼らの間に、今更そんな事に対して不満を持つ訳など無く、颯太も当然のことのようにして、旅に出るという彼女について来たのだ。
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フェイル(プロフ) - さにー☆彡さん» 初めまして! コメントありがとうございます! 細々と連載していくつもりでしたのでコメントをいただけるとは思わず、本当に嬉しいです! まだまだ勉強中ですので恐れ多い褒め言葉です;; 今後も頑張らせていただきます、よろしくお願いいたします! (2018年12月9日 21時) (
レス) id: de67700d03 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 初めまして、突然のコメント失礼致します。とても綺麗な文章に感銘を受けました……！ これからも陰ながら応援しています。更新頑張って下さい！ (2018年12月8日 9時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：フェイル | 作成日時：2018年12月1日 22時
