続き ページ6
直ぐに頼んだ物が届き、榎並は食べ始めた。
「藤巻さん？食べないと明日の朝への元気が無くなっちゃいますよ」
藤巻も食べ始める。だが直ぐに頼んだお酒も飲もうとした。
「ちょっ、それ私の……」
構わず藤巻は飲んでしまう。さっきより酔いが回っているようだ。
藤「Aさん」
急に名前で呼ばれ、榎並は心底驚いた。振り向くと藤巻が榎並をまっすぐ見ている。
「なっなんですか」
焦りながら発した言葉に藤巻は微かに微笑んだ。
藤「Aは、僕の事どう思ってんですか」
呼び捨てが新鮮で、一瞬他の人と喋ってる様な気分になった。
「私は……」
言いかけた時、藤巻は榎並の方に倒れた。榎並はその藤巻の重さに耐え切れず倒れてしまった。
「ちょっ……」
藤「どう思ってるんれすか」
完全に呂律が回っていない藤巻に押し倒された様な状態で聞かれた。
「私は、藤巻さんのこと……好きです」
酔っていることを幸いに思い切って告白した。藤巻は酔いか照れなのか顔を赤くしながら榎並をハグした。
「はっ⁉︎」
榎並が驚いて引き剥がそうとすると藤巻は寝息を立て始めた。
「藤巻……さん！」
榎並は頑張って藤巻の体を起こし、藤巻を壁に寄りかからせた。
藤「好き……」
「はっ？」
藤巻の突然の言葉に榎並は驚いて酒を吹き出しそうになった。
藤「麻帆……」
藤巻は妻を呼んでいた。榎並は悲しそうな笑顔を浮かべ、藤巻を立たせる。
「そろそろ出ましょうか。もう帰らないと家族が心配するんじゃ無いですか？」
榎並は藤巻を入り口まで押して、会計は藤巻の分も払った。
藤「寒っ……」
「行きますよ」
榎並は藤巻を半ばおんぶする様な形で運んでいった。
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作者名：Rei | 作成日時：2024年3月11日 7時
