僕が数を愛する訳。【神様の依頼箱】 (ページ6)

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「……起きたか。その……大丈夫か、お前」

僕が目を覚ましたのは、古びた民家だった。

とはいっても、家なんてない僕から見たら天国みたいなところだったけどね。

「ここ…………どこ？」

と言うと、さっきも声をかけたらしい男はニッと笑う。

「まあ待っとけよ、話は後だ。…………伊都！飯にしようぜ！」

「はいはーい」

男性の声に反応して、『伊都』と呼ばれた女性が返事をする。

男性と女性は名をそれぞれ『獄門漸』、『獄門伊都』というらしい。

会話をしているうちに、男性____ぜんさんは新撰組に入ってると知った。

正直、怒り狂ってやろうかと思った。
新撰組は幕府の犬。それなら、僕の復讐すべき人だからね。

でも、やっぱりやめた。

だってこの人は、僕を助けてくれたから。

その前は僕は、ガタイのいい男二人に散々暴力を振るわれていた。

一回やめられたと思ったらまた十分後に何回も殴られ、蹴られる。

そんな生活が2ヶ月続いた。

『殺してもいいならこいつから』『女みてえだし』『チビだし』『弱そうだし』……

へぇ、そうかい。

そこまでいうならしょうがないなぁ。

そう思うと、自然と体が動いた。

不思議と疲れなかった。でも言葉が発せなかった。

僕は二つ目の人格……通称『オレ率』になっていた。

いつの間にか、周りには男が倒れていた。

オレ率となった僕は自分では制御不可能。
ならば、誰が止めてくれたのか。

「安心しろよ。俺の仲間のとこに連れてってやる」

その声に温かさを感じて、安心して意識を止めた。