キンスマ~生い立ち編~2 ページ16
Aが保護をされて連れてこられたのは児童養護施設。その当時のことを知る施設長は、
施設長「なんと言うか…目がね、生きていないんですよ。体中にアザがあって、体も4才児にしては小さい。歩くのも話すのもほとんど出来なくて…何年もこの仕事をしてますが、あのこほど酷いのは見たことがなかったですね…」
施設に来ても、Aはずっと部屋の隅で動かない日が続いた。なんとか馴染ませようと保育士たちが試行錯誤していたが、なかなかうまくいかず…
そんなある日、Aを訪ねて50代くらいの女性がやって来た。Aの虐待にいち早く気づいた近所に住む女性で、様子が気になってやって来たと言う。訪問に気づいたAは、うまく歩けない足でその女性に駆け寄り、抱き付いて大声で泣き出した。
施設長「きっと、安心したんでしょうね。その方はAが生まれたから時から一家のことを気にかけていて、ことあるごとにAに話しかけていたらしいんです。一番心を許していた相手だったので…
それからは、女性に頼み込んでできるだけ施設に来てもらうようにお願いしたんです。快く引き受けてくれたその方は週1回通ってくれました」
女性を介して少しずつ心を開きだしたA。保育士だけでなく、他の子どもたちとも関わるようになって、笑顔が見られるようになった。
もともと好奇心旺盛だったのか、新しいものに興味を持ち、吸収するのがとても早かった。歩くのも話すのもほとんど出来なかったのに、1年が経つ頃には、他の同じ年の子どもと変わらないくらいに話し、読み書きもできるようになっていた。
しかし、そんな日々を脅かす出来事が起きる。
Aが一番心を開いていた女性がご主人の仕事の都合で海外へ行くことになったのだ。
その話聞いてから再び心を閉ざしたA。
施設長「かなりショックだったみたいで…当然ですよね。命の恩人で一番心を許していた人がいなくなるんですから。でもね、行かないでとは一言も言わなかったんですよ…」
―それはどうして?―
施設長「直接聞いたわけではありませんから、私の勘ですが…言ってもどうしょうもないことが分かってたんだと思います。あんな生い立ちですからね、5才なのに達観したところがあって…でも、うまくそれをコントロール出来なくて心を閉ざすことしかできなかったんじゃないかな…」
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作者名:千夜 | 作成日時:2014年9月16日 20時