306話 ページ6
そういえばさっき真田は準備を手伝いではなくする、と言った
なるほど、ここは好感が持てるな
準備はするもの、と認識している男の人は少ないと言われている中で……
良い奴だな
｢待たせた｣
髪がぺちゃっと額にくっついてまた違う良さが出ている真田が姿を表す
｢シャンプー、使ったんだな
似合ってる｣
髪と体から漂うお揃いの匂い
いつも俺こんな匂い出してるんだ
だからフルーツが食べたくなるのか
｢あぁ、使わせてもらったんだが水は汚染されないのか｣
勿論そこまで考えてある
そんな無責任なやつじゃあない
｢あれは川に流れても害はないしなんなら水の浄化を助ける成分が入っている
そういうふうに作った｣
一つ一つ成分を調べるのは苦労した
もう二度とあんなことはしたくない
次はもっと効率よく簡単に
｢む、あれを作ったのか
さすがだな｣
自然に座禅を組み2人で目をつぶりながら話す
これは本来の姿とは違うだろうが……まあいいか
そんなことを考えているといつの間にか無言で坐禅を組んでいて本来の姿になる
うん、こっちの方が違和感がない
｢坐禅ですか｣
ふと頭の上で日吉の声が聞こえる
集中していて起きたことに気づかなかったらしい
｢あぁ。
日吉もやるか？｣
｢いえ、俺は遠慮しておきます｣
｢そうか。川で水でも浴びるといい
更衣室のようなものもあるからな｣
｢じゃあ有難く使わせてもらいます｣
日吉を見送りまだ坐禅を組んでいる真田に声をかける
｢蜂がいるから動くなよ｣
大きなオオスズメバチが真田の近くにいるので持ってきたラケットで小枝を打ち蜂に的中させ殺す
｢まだ坐禅を組むか？｣
｢いや、手合わせをしたい｣
｢わかった｣
まるで武道の家のような会話をする
｢でも道具がないだろう｣
そう聞いてみれば珍しく遠慮がちにこっちを見てきた
｢その、Aに体術を教えて欲しいんだ
何かあった時に大切なものを守れるように｣
ヒーローみたいな理由だな
嫌いじゃない
｢そうか。俺の体術は主に
テコンドー、ムエタイ、システマ、極真空手、ボクシング
その他もろもろで成り立っているからめちゃくちゃだぞ｣
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作者名：I like choco. | 作成日時：2021年8月25日 23時
