推しが彼氏で彼女が推し 𝙻𝙾𝚅𝙴 𝚈𝙾𝚄 (ページ17)

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317話ページ17

なんで、なんで今なんだ
あともう少し、1年遅ければまだ良かったのに
どうしよう

まずは今の家を売り払わないと
そしてパパにしばらく住ませてくれとお願いをしよう

土日は合宿所に帰って来るという約束でマンションを借りさせてもらって普段はそこで過ごしているがその金を払う余裕なんてもうない

今日たまたま家に帰ってきていたからよかったものの…
もし今日が平日だったら、そう考えるとゾッとする

コンコン、と叩く音と同時に扉をが開く

｢失礼しますよ
えぇ、そのソファはここに
その机はここです｣

机や棚…他にもたくさんのものを抱えた業者の人が質素だった部屋を飾っていく

｢では我々はここで
失礼しました｣

業者の人が帰るまで黙っていたものの扉がしまった瞬間に聞く

｢どうしたの？｣

｢ん？マンションを売り払ったんだ
しばらくの間はここに住むんだから必要ないでしょ？
親分さんから連絡があってね
あ、自分でしたかった？｣

なんとも素早い行動力は予想を上回っていた

｢い、いや……ありがとう｣

｢ほら、そんなことより早く仕事をしないと
大変なんだろう？｣

じゃあ、僕は失礼するよ
と言い颯爽に部屋を出ていく至パパ

｢やべ｣

呆気に取られていたもののそんな暇はない

今できる策を探しできる限りのことに手を尽くした

寝る間を惜しんで自分の会社を守れる策を建てていく
どんどん大企業が倒産していく

怖い
明日は我が身

仕事を1時頃までして寝ようとしても寝れない
昨日も、一昨日も……ずっと寝れないまま朝を迎えている

無礼を承知で至パパの部屋に行く
そこに、求めているものがある

夜の廊下は誰もいなくて真っ暗で不安な気持ちが高まる

｢パパ……薬が欲しいよっ｣

泣きそうになりながら、必死に声を出す
辛くて薬に逃げるように至パパに睡眠薬をねだる
これがないと最近は不安で寝れない
つい一昨日薬を1瓶貰ったばかり
なのに、足りない
なのに、寝れない

ベッドで寝ていたはずのパパはベッドの横にある小さなランプを着けてこっちに来てくれる

薬のせいか爪もボロボロになって
ストレスからかいつの間にか口の中は皮が向けていてでこぼこしている

パパは俺の事をじっと見つめて何か決めたように口を開いた

｢……暫く僕の部屋で寝ようか。ベッドは明日にでも運んでもらおうね｣

ここ1ヶ月こんな様子だ
自分でも少し不安定な状態ということは自覚しているけど何も出来ない

｢嫌だっ、一緒に寝てよ……怖いの
パパ、どうしよう……怖いよっ｣