312話 ページ12
外の空気を吸い気持ちが落ち着いたのを確認しみんなの場所に戻る
もう全員が起きていて各々食事をしていた
「んー!肉うめぇ!」
骨肉にかぶりつく赤也はとても美味しそうに食べるから見ていて楽しい
全員が朝食を食べ終わり少し休憩したところで山登りを再開する
命綱がない中必死で岩に落ちないようにしがみつく
やっとついた地獄の場所では高校生たちが練習をしていた
バチバチと火花を飛ばして睨み合う数名を放りパパに会いにいく
「遅い」
酒を飲みながらそんなことを言うパパを無視し酒を1口飲む
「ん、苦い……」
久しぶりに飲むお酒は口には合わず甘い食べ物を求める
「お前は1人で試合をしろよ」
寝床の試合のことを言っているらしい
普通に寝かせてくれてもいいのに……ケチ
「勝てるだろ」
そう言って俺の好きな酒を置いてみんなのところに戻ってしまった
相変わらず態度だけは冷たい
「もっと強い度数のお酒をくれたらいいのに」
嫌なことが、嬉しいとは言い難いことがあったと感じていながらもそれを忘れないようにわざと度数の低いお酒を置いた、なんて誰も気づかない。
忘れるな、大切な経験だと言いたいんだろうけど……
酒に溺れたい
また少しだけ、溢れる涙を拭うことは出来ず夕日に照らされることしか出来なかった
「俺ってこんなにワガママだったんだなぁ
ははっ、何が、何が辛い思いをした。だ
俺は今それを沢山の人にしているのに」
罪悪感という都合のいい感情で自分が被害者のように思えてくる
そんなことはないのに
かといって俺が悪いことは無いはず
いや、もしかしたら悪いのかもしれない
その現実を目の当たりにしたくなくて逸らしているだけで
「なんでこんなことになったんだろーなぁ」
とっくに空になった缶を握り潰し目を覆った
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作者名:I like choco. | 作成日時:2021年8月25日 23時