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云わば心配性【二麗】 ページ1

にゃー、にゃー

と、鳴き続ける猫の中に、黒髪の少女の姿が見える。
微笑ましい。
そう思いながら通る人が殆どだった。

たった一人を除いては。

「にゃー………?」

黒猫と戯れている間、ポツンと1粒雫が落ちる。
それに気付かず、彼女は戯れ続ける。
その黒猫に仲間意識を持っている様だ。

いつしか、雨の振りが激しくなる。

ようやく気付いたが、もう服はびしょ濡れ。
雨宿りするところは、ただ一つ。バス停だ。

そこに、一人の人影がやって来る。

「………じろちゃん…?」

顔見知りの様だ。

彼は麗を見付けると、こっちに来いと言わんばかりに手を仰ぐ。
それに応えるかのように、彼女も彼の所に行く。

「……じろちゃん、なんでここ分かっタ…?」

不思議に思い、聞く。

「クラスメイトに聞いたんだよ。昼休みになった途端校門でるとか、お前馬鹿だろ」

額をどつかれる。

馬鹿だろ、と言われている間にも、頭にはタオルが被せられていた。

「あー……その………寒くねぇか?」

「…ちょっト……くしゅんっ」

くしゃみをすると、「まあそうだろうな」と理解し、自分のジャージを麗にかけた。

これで付き合ってないのだからまあ恐ろしい。

「………謝謝…」

「……別に」

彼は帽子をまた深く被り、

彼女はジャージにより丸まった。


暖かい雨の日だった。


.

記憶なしに甘える行為無し。→



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作者名:クシナデソーマ | 作成日時:2018年12月10日 0時

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