第六十四訓 ページ21
結構絶望的なこの状況。
刀を抜くか?戦うか?それとも逃げるか?
どうしよう、できる限り戦闘はしたくないし荒事は起こしたくない……でもこの状況は…
『っ、』
カチャ、と静かに刀に手をかけた。仕方なく刀身をスラリとそのまま見せようと手に力を入れた時____
______「どうやらお前は、」
後ろから、誰かにひたりと頬に手を滑らされた。
『っえ、』
「余程俺の懐に入ってくるのが好きらしい」
すぐ側、すぐ後ろから。耳に囁きかけるようにいつしか聞いたことのある声が響いてきて。ドッッ、と冷や汗が流れる。
なんで…気配がなかった……!いつの間に…?
ひゅ、と喉がなって手が微かに震えてきた。恐怖と得体の知れなさによる不安、で。
「ククッ、そう怯えんなよ。久し振りの再会喜ぼうぜ?」
そうだ、この低い声。喉を震わせる笑い方。なんでここに、お前が。
『た、かすぎ……?』
高杉「穎悟にして愚直ってか?そこのじゃじゃ馬に引きずられる余り反応も動きも遅いじゃねェか」
『っ、』
後ろから、刀にかけていた手に高杉のそれを重ねられる。ゆるりと艶っぽい手つきで指をなぞられた。
「さぁ、ここで死ぬか捕まるか……選べ」
ねっとりとした喋り方。
ふぅ、と煙管の煙が後ろで舞うのがわかる。
『っ神楽ちゃんが無事なら、なんでもいい』
「……ほォ?そりゃお優しい事で」
その瞬間、私の意識は途切れた。
__________
______
___
『……ん、』
目を開く。私が居たのは、全く知らない部屋だった。段々意識が覚醒して記憶が戻ってくる。
(嗚呼そうだ…高杉に話しかけられて気絶して……ならここは高杉の船……)
______ガシャンッ!!
『……おっと、』
そして思考をめぐらせて動こうとしたら、身動きが取れなくて。
見れば、手が鎖で繋がれていた。鎖はとても短く、かつ壁に取り付けられている。ったく趣味が悪いねぇ。そして私が居るのは人っ子一人居ない船室の様だ。
『けど刀取られてるっぽいし……くそ、あの高杉とかいう奴一発くらい殴って__』
「へぇ。誰が誰を殴るって?」
『!』
ううーん、と頭を悩ませていれば部屋の中に響き渡る声。ちらりとそちらを見れば……
『……高杉…サン…』
…………やべぇ本人の登場だ。
ー
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実珠(プロフ) - たらのめさん» 有難う御座います!!なってましたねw訂正させて頂きました!!有難う御座いました!! (2022年3月30日 20時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
たらのめ - あ、あのー第八十七訓で、「急に走り寄って来たかと思うと走り寄ってきた。」ってなってるんですが…間違いじゃなかったら申し訳ございません!ちょっと気になったので…💦 (2022年3月30日 16時) (レス) @page44 id: fc9ca49c49 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - セイラさん» 天才だなんて……めっっっちゃ嬉しいです!!!!ストーリー付けも性格も頑張ります!!原作者は言い過ぎですよお世辞が上手いんだからっっ() ……………はい。頑張ります!コメントありがとうございます!! (2021年5月16日 11時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
セイラ(プロフ) - 天才では????原作者かと思いましたよ(((てかキャラがすごい濃い。ストーリー付けも性格も面白すぎる。神。頑張って下さい!!!!!! (2021年5月16日 0時) (レス) id: fb0de82876 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - 夢花さん» いや高杉と銀さんはテンション爆上げした。 (2021年5月8日 23時) (レス) id: ac88d92ae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2020年9月8日 18時