【ONEPIECE】月が綺麗だと、そう言って2【トラファルガー・ロー】 (ページ44)

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43.失われた物、手に入れた物ページ44

ーno side－

ベポ「キャプテン達まだかなぁ…」

熱と寒さに魘されるクルーの看病をしながら泣きそうな声で言うベポの方をペンギンが叩く。

ペン「あの人のことだ。ちゃんと皆治してくれるさ」

そう言っていると廊下からバタバタと走る音が聞こえてきた。

(バタンッ

ロー「ワクチンを手に入れた！直ぐに注射の準備をしろ！」

ベポ「キャプテン！！」

勢いよく開かれた扉から出てきたローにベポが目を輝かせる。

ロー「時間が無い、手分けしてやれ！」

ペン「アイアイキャプテン！」

ローとAの持ってきたワクチンを注射すると、倒れたクルーの顔が少し和らぎ、時間経過と共に体温の異常は落ち着いた。

A「お疲れ様です、船長。」

治療を終えたローが甲板で休んでいるとAがコーヒーを持ってきた。

ロー「お前も少し休め。」

ローにコーヒーを渡してすぐ船内に戻ろうとしたAをローが引き止める。

A「分かりました。」

素直に隣に座ったAの黒い髪をひと房手に取ってローが口を開く。

ロー「後悔してねぇだろうな」

A「してませんよ。」

傲慢な物言いの割に少し不安が混じるローの言葉にAは即答する。

A「後悔なんてしてません。
この姿が好きな訳ではないですけど、皆を守れるならこの力は必要なものです。
…それとも、この髪と目はお気に召しませんか？」

ロー「いや…。」

治療のうちにすっかり暗くなった空を見てローは笑う。

ロー「いい色だ。」

A「ありがとうございます。」

貴方がそうやって言ってくれるから、私はなんだかこの姿でもいいと思えるんです。

彼女はそう思ったが少し照れくさくて、黙って同じように空を見上げた。

昔少年に言われたような、自分の色とおなじ夜空と月を。