【ONEPIECE】月が綺麗だと、そう言って2【トラファルガー・ロー】 (ページ31)

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30.あの夜の思い出② ページ31

－Aside－

それから少年は私にぽつりぽつりと話し始めた。

自分の病気のこと。色んな病院に連れて行かれるけど診ても貰えないこと。

少年「ごめんな、こんなこと言ってもわかんないよな。」

こちらを見る少年の顔が切なそうで少年を包む力が少し強まる。

狼の姿では喋れば驚かせてしまう。
人間の姿だったら、もっと話を聞いてあげられるのに…

そんなことを考えていると私の顔に少年が触れた。

少年「…お前の目、月みたいで綺麗だな…。毛が黒くて、目が金色だから…まるで、夜空みたいだ。おれ、すきだな…。」

そういうと少年はすやすやと眠ってしまった。

初めてだった。

領主や島民は悪魔の遣いだと罵倒した。
自分でさえ泥のようだと頭を掻きむしり獣のような瞳を見て鏡を割った。

そんな嫌悪の対象だった私の姿を褒められたのは初めてだった。

狼なのに涙が出てきて、少年が起きないよう静かに泣いた。

泣き止んだ頃、誰かの名前を呼んで近付いてくる足音が聞こえてきた。

私と一緒にいると良くないだろうと少年が起きないようそっと離れて屋敷に戻った。

A「もし…がんばって生きて、生きて…いつかアイツから逃げれたら…」

A「また会えるかな…」

そんなささやかな期待と嬉しさを胸に布団に潜り込んだ。

その日、両親が死んでから初めて悪夢を見なかった。