【ONEPIECE】月が綺麗だと、そう言って2【トラファルガー・ロー】 (ページ23)

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22.狼の呪いを解くのは④ ページ23

－Asideー

ロー「おい、起きろ…A…」

A「う…せ、んちょう…？」

痛みで気絶していたのだろうか。

A「船長！あいつは…！？」

ロー「もう倒した。呪いも、もう消した。」

A「え…？」

近くに落ちていた割れたガラスで首元を確認すると、首にあの痣は無かった。

心臓が早い。この感情をどう言い表したらいいのか分からない。
達成感や解放感が入り混じって言葉が出ない。

ロー「A」

名前を呼んだ船長を見る。

ロー「お前は自由だ。」

そう言って私の頭にぽん、と手を置く船長の姿が何故か歪む。目を擦って初めて自分が泣いていると分かった。

A「う、うう、うああああああああん！！！」

言葉が出ない。ありがとうもごめんなさいも言うことは沢山あるのに、口からは泣き声しか出ない。

頭に乗った手のぬくもりが、とても安心した。

ロー「落ち着いたか？」

A「はい、すみません。大丈夫です…」

大泣きから落ち着いた私は照れくさく思いながら立ち上がった。

A「痛っ！」

ロー「…シャチの時の傷か。あの血の量だと大分傷口深いだろ。」

痛む右足を押さえていると船長が私を横抱きにする。所謂お姫様抱っこだ。

A「せせせ船長、その、大丈夫ですから降ろして…」

ロー「怪我人は黙ってろ。」

船長に抱かれてボロボロの教会を裏口から出る。

A「…シャチ、怪我大丈夫ですか？」

ロー「傷は多かったが命に別状はねぇ。今回も一緒にここに来てた。」

A「よかった…」

あの時船に残していったシャチが心配だったから、無事でよかったと息をつく。

A「ところで…その…。」

ロー「なんだ」

A「なぜ、皆タキシードを着てるんですか…？」

ロー「…イッカクが…。」

(イッカク「結婚式に花嫁を奪うってことは奪う側の私達もそれなりの格好しないとじゃない？」

ペン「例えば？」

イッカク「タキシードとか♡」)

A「それで着たんですか…」

ロー「チッ。街の人間に海軍呼ばれても困るからな。海賊だとすぐバレないように着ただけだ。」

A「でも、似合ってますよ、皆。」

バツが悪そうに船長が目を逸らす。

ロー「お前こそ似合ってる。…夕焼けみたいだな。」

A「？？夕焼け？」

ウェディングドレスなら白のはずなのに…

ロー「後で鏡見てみろ。」

夕焼けのようだと呟く船長の表情がやけに優しく思えてくすぐったかった。