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カタ、ガタ。
「うわ、うわっ!? え!? 出てこようとしてる! 出てこようとしてるぅぅ!」
「大丈夫だ」
箱が揺れる音がした直後に善逸が布団から飛び上がって炭治郎の方に寄った。よっこらせっと身体を転がして箱の方を見ると、箱ががたがたと揺れている。そっか、夜だもんね。それに日差しがないから出てきても問題ないんだ。
「何が大丈夫なの!? ねえ!? ねええ!?」
ねえってばねえ! と騒ぐ善逸に夜中なんだぞ善逸と静かにする様訴える炭治郎。気にすることもなく寝る伊之助に、私はと言えばけらけら笑って善逸を指差した。
「ははははは、善逸うるせぇ」
「ごめんなさいね怖いのよ!! っていうか何Aなんで笑ってんの!? 怖い! 出てこようとしてる鬼も怖いしこの状況でけらけら笑ってるAも怖い!」
「深夜テンションってやつですね〜」
「“てんしょん”って何よ!?」
ガタンッ。
「きゃぁあああ!! 鍵掛かってないんかあああい!!」
「しーーっ!」
「う、うる、せぇ……ひぃ……」
深夜テンションのおかげで笑いが止まらない。お腹痛い。腹筋ついちゃう。
「ままままま、守ってぇえ! 俺を守ってええ! 伊之助でもいいからああ!!」
「伊之助寝てますけど」
「こっち来んなあ゙!」
「起きてたわ」
伊之助の色白で筋肉ムキムキの足が見事泣き叫んで走る善逸の顎にヒット。おおっとあれは痛い。痛……。
「およよ」
素早く足を引っ込めて吹っ飛んできた善逸を避ける。危ない。足引っ込めるのが遅かったら善逸の体が私の足に降ってくるところだった。眠くて距離感あんまり掴めてないけど。でもあれ直撃したら絶対痛い。間違いなく痛い。
そのまま転がった善逸の体は箱の前で停止。ゆっくり開いた扉にひっ! と短い叫び声をあげた。
小さい手が畳に降りて、それを見た途端にまた善逸が涙目になる。
「出ぇたああああ!!」
走った先は押入れ。すぱん、と勢いよく開けたかと思えば隠れなきゃ隠れなきゃと涙声で騒ぎ立てる。いやいやうるさい。マージうるせぇ。
そんなことを考えながら視線を善逸から箱に戻して、箱から覗いたその姿に私は笑顔を浮かべた。
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ユズヒ(プロフ) - nogiruka03161さん» コメントありがとうございます! 絶世の美少女とはなんと嬉しいお言葉。夢主が聞いたらドヤ顔で調子に乗りますね。その認識で大丈夫です!それ故に言葉遣いや所々の残念さが目立つというか際立つというか玉に瑕……みたいな感じです! (2019年10月7日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
nogiruka03161(プロフ) - 前から思っていたのですが、夢主の美少女レベルはどれくらいなんでしょうか。主要人物は、禰豆子ちゃん、胡蝶姉妹、カナヲ、蜜璃ちゃん、鬼側なら堕姫と、美少女や美人が多いですよね。善逸の過去の発言や鬼に容姿で目をつけられるあたり絶世の美少女と認識してます。 (2019年10月7日 21時) (レス) id: 5ed8b171b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!個人的に善逸との絡みは私も書くの好きなのでそう言って頂けるととても嬉しいです!鴉は焼き鳥になりました。 (2019年10月5日 19時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 巫女ちゃんと善逸の絡み好き。善逸と残ってあげるの今まで見たことないからおぉこれいいなって思った、デス。(ちょっと鴉風)あと善逸の優しさと巫女ちゃんの赤面好きそれをからかう鴉も (2019年10月5日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!手紙だとあいつは大体おちょくってくる奴です。そうなんですよ!絶対可愛いなと私も書きながら思いまして!!絶対!!可愛い!!! (2019年9月22日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年9月16日 16時