第55話 家族ごっこ ページ39
今日も暴力の雨だった。
降ってくる拳からこの子を守って、かわりにあたしが傷だらけ。
母は相変わらず泣くばかりで助けてなんてくれやしない。
腕の中で震えるこの子を抱きしめて、大丈夫大丈夫と呟いてやる。
ご飯なんてもう三日ほど食べてない。
なんとか水で凌いでいるというのに、父は毎晩酒を飲んであたし達に暴力を振るう。
あたし達のご飯のお金が、あの男の酒代に消えていく。
母もなにも食べてない、なんて嘘ばっかり。
だってあたし見てたもの。
夜中にこっそり、お煎餅を食べてるの。
気づいてないとでも思ってた?
それ、近所の人があたし達と食べる様にって渡してくれたものじゃない。
聞こえてないとでも思ってた?
夜中にその音が、本当に聞こえてないとでも思ったの?
夜中に父のいびきに紛れてぱりぱり音が響くなんて、こんな現状じゃなきゃとんだ笑い話ね。
友達に言いふらしてやりたいぐらいの面白い話だわ。
まあ友達なんていないけれど。
ぐう。腹の虫が鳴いた。
今日は何か食べるものにありつけるかな。
せめてこの子には何か、食べさせてあげたいなぁ。
「炭治郎達が、生きてる?」
「ええそうよ。っていうか、生きてるに決まってるわ。だって母さんってば弱いんだもの」
つまらなそうに言って、布切れに「ねぇ?」と同意を求める少女に眉を寄せた。
炭治郎達が生きてるのは僥倖。まああいつら強いからそんな簡単に死なないとは思っていたけど、それは確かに良い知らせだ。
けれど、けれど。母さんが弱いって、どういうことだ?
「母さんはねぇ、弱いのよ。あたしや累よりもずっとずっと弱いの。弱くて怖がりで泣き虫で、あれはきっと、母さんって生き物に向いてないのね。そんな人が生きていられると思う? 勝てると思う? 思わないでしょう? だから、貴方のお友達は生きてるわ」
だって貴方のお友達、とても頭が回って強かった。そんな子達に母さんが勝てるはずないわ。
そう笑って私に声をかけてくる。待ってほしい。どういうことだそれは。だってあんたら、あんたらはさあ。
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ユズヒ(プロフ) - nogiruka03161さん» コメントありがとうございます! 絶世の美少女とはなんと嬉しいお言葉。夢主が聞いたらドヤ顔で調子に乗りますね。その認識で大丈夫です!それ故に言葉遣いや所々の残念さが目立つというか際立つというか玉に瑕……みたいな感じです! (2019年10月7日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
nogiruka03161(プロフ) - 前から思っていたのですが、夢主の美少女レベルはどれくらいなんでしょうか。主要人物は、禰豆子ちゃん、胡蝶姉妹、カナヲ、蜜璃ちゃん、鬼側なら堕姫と、美少女や美人が多いですよね。善逸の過去の発言や鬼に容姿で目をつけられるあたり絶世の美少女と認識してます。 (2019年10月7日 21時) (レス) id: 5ed8b171b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!個人的に善逸との絡みは私も書くの好きなのでそう言って頂けるととても嬉しいです!鴉は焼き鳥になりました。 (2019年10月5日 19時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 巫女ちゃんと善逸の絡み好き。善逸と残ってあげるの今まで見たことないからおぉこれいいなって思った、デス。(ちょっと鴉風)あと善逸の優しさと巫女ちゃんの赤面好きそれをからかう鴉も (2019年10月5日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!手紙だとあいつは大体おちょくってくる奴です。そうなんですよ!絶対可愛いなと私も書きながら思いまして!!絶対!!可愛い!!! (2019年9月22日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年9月16日 16時