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立ち止まった背中。二人は何かを見つめていて、追いついて立ち止まった私も自然とその視線の方に目をやった。
そこには山の目の前の道に倒れているボロボロの男の人。右手には刀、服装は…………鬼殺隊のものだ。


「隊服を着てる……鬼殺隊員だ! 何かあったんだ!」


言うが早いか、炭治郎は隊員に駆け寄って、伊之助も続いた。「ひっ! 待ってぇ!」と隣の善逸。私も駆け寄ろうとして…………足が止まった。

…………あ、これはヤバい。


「大丈夫か!? どうした……!?」

「炭治郎その人に触んないで!!」


私の言葉の直後。ぎりぎりと何やら硬い糸を引く音がして、ぶわっとその人が宙に浮いた。
何かに引っ張られて山に吸い込まれる隊員の叫び声が、暗闇に響く。


「繋がっていた! 俺にも!! 助けてくれぇええええええ!!」


断末魔の様だった。山に吸い込まれたと思ったら軌道が直角に曲がって隊員は木の中に消えて、残ったのはその余韻だけ。隣の善逸は両手で口を押さえて青い顔をして震えている。

……なに、今の。まるで釣り針に引っかかった魚が海面に引っ張られるかの様な光景。声が聞こえなくなった後、あの人はどうなった?
冷水をぶっかけられたのかってぐらい身体が冷たい。変な寒気に強張る身体。その恐怖を抑える為にかたかたと震える手を無理やり握って拳を作った。
すう、と息を吸って、ゆっくり吐いて深呼吸。心を落ち着ける。


「……俺は行く」


聞こえたのは炭治郎の声。強い声だった。
その炭治郎を押しのけて前に出たのは伊之助だ。


「俺が先に行く。お前はがくがく震えながら後ろをついてきな。腹が減るぜ……」

「伊之助……」

「“腕がなる”だろぉ……」

「せっかくかっこよかったのにねぇ」


体育座りをて涙目のまま細かく震えて訂正を入れる善逸にははは、と苦笑いできるぐらいの余裕はできてきた。体温も戻ってきた。いや最高に怖いけど。夜だし、どんな鬼がいるか分かんない山だし。神代山ならこんなに怖くはなかっただろうけども。


「ハッハァー! っしゃあー!!」


叫んだかと思えば真っ直ぐ山に向かって突き進む伊之助。追いかける炭治郎の背中に迷いはない。
すごいなぁ、本当に迷いなく行っちゃうんだ。怖くないのかな。私めっちゃ怖いんだよね。行くけどさ。ぼんやりとそう思いながら、私は震える善逸の隣で山の中に消える背中を見つめていた。

*→←第51話 那田蜘蛛山



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ユズヒ(プロフ) - nogiruka03161さん» コメントありがとうございます! 絶世の美少女とはなんと嬉しいお言葉。夢主が聞いたらドヤ顔で調子に乗りますね。その認識で大丈夫です!それ故に言葉遣いや所々の残念さが目立つというか際立つというか玉に瑕……みたいな感じです! (2019年10月7日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
nogiruka03161(プロフ) - 前から思っていたのですが、夢主の美少女レベルはどれくらいなんでしょうか。主要人物は、禰豆子ちゃん、胡蝶姉妹、カナヲ、蜜璃ちゃん、鬼側なら堕姫と、美少女や美人が多いですよね。善逸の過去の発言や鬼に容姿で目をつけられるあたり絶世の美少女と認識してます。 (2019年10月7日 21時) (レス) id: 5ed8b171b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!個人的に善逸との絡みは私も書くの好きなのでそう言って頂けるととても嬉しいです!鴉は焼き鳥になりました。 (2019年10月5日 19時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 巫女ちゃんと善逸の絡み好き。善逸と残ってあげるの今まで見たことないからおぉこれいいなって思った、デス。(ちょっと鴉風)あと善逸の優しさと巫女ちゃんの赤面好きそれをからかう鴉も (2019年10月5日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» ありがとうございます!手紙だとあいつは大体おちょくってくる奴です。そうなんですよ!絶対可愛いなと私も書きながら思いまして!!絶対!!可愛い!!! (2019年9月22日 10時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年9月16日 16時

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