【鬼滅の刃】神様の巫女 伍

＊ ページ20

「どの様な時でも誇り高く生きてくださいませ。ご武運を」


私達にそう言葉をかけてくれたお婆さんに三人でお辞儀をし(伊之助は不思議そうにこっちを見てた)、別れを告げて縦に四人並んで那田蜘蛛山への道を走った。あいも変わらず先頭は炭治郎、その後ろに善逸、次に伊之助、最後に私と言った具合。


「誇り高く？ ご武運？ どういう意味だっ？」


質問を投げたのは伊之助。ふむ、改めて聞かれると難しいな。これに関してはニュアンス的な、考えるな感じろ的な曖昧な感じで言葉を認識しているから、説明をしろと言われるとちょっと考えてしまう。ううん……。


「そうだな……改めて聞かれると難しいな」


炭治郎も私と同じらしい。やったね仲間がいたよ！


「誇り高く……自分の立場をきちんと理解して、その立場であることが恥ずかしく無い様に正しく振舞うこと……かな」

「あ？」

「それからお婆さんは、俺達の無事を祈ってくれてるんだよ」

「ざっくり“死ぬなよ”って意味合いで受け取っとけばいいんじゃね？」

「お前なんでそういうとこ適当なの？ いや意味は合ってるんだろうけどさ」

「合ってるならいいのでは？」

「……ああ、うん、そうね」


炭治郎に続けて言うと善逸から呆れの視線を向けられた。おかしい。なんで善逸にそんな目向けられなきゃならんのか。私間違ってなくないか？


「その立場ってなんだ。恥ずかしく無いってどういうことだ？」

「それは……」

「また難しい質問をしますねぇ……」


なんかもうそれ哲学の道に足突っ込みかけてる気がするのは私だけか。そんな馬鹿な。
炭治郎もやっぱり即答できてないし、純粋な質問って答えるのが大変だ。


「正しい振る舞いって具体的にどうするんだっ？ なんで婆ぁが俺達の無事を祈るんだよ。なんも関係ない婆ぁなのに、なんでなんだよ！」


関係ないことはない、と思うけど……。私達が鬼を斬ればその分鬼の脅威に晒される人が減るわけで、あのお婆さんもその内の一人なんだから関係ない……とは……。そもそも藤の花の家をやってる時点で全くの無関係ではないだろうし。


「婆ぁ立場を理解してねぇだろ！」


考えてる間にもあれよあれよと伊之助の言葉が飛び出していく。ああこれどうしようかな、なんて思っていたら、炭治郎が「ふんっ！」と何やら怒った様に足を速めて先へ先へと進んで行った。

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