【鬼滅の刃】神様の巫女 弐

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「私がまだ本当に小さい時に、母さん鬼に喰われて死んだから。直接貰っただとかじゃないんだよね。だから、勝手に貰ったの。……あれ、盗んだとも言うのかな？ え、私泥棒？ うわぁ……」


無許可で物を取ったらそりゃ泥棒だわな！ ちょっと考えたことなかったです！ ……でも取ったの私じゃないし、村の人だし。ってことは私泥棒じゃないの、では？


「A」

「ん？ な、に……」


うんうんと考え事をしていると、隣から呼ばれたからそっちに顔を向けた。
待ってほしい。なんでそんな悲しそうな顔をするの。なんだなんだどうしたの！？ え、私何か言ったっけ？ なに！？


「え、え、炭治郎、どうしたの？ なんで、そんな顔……」

「A。そういうのは、勝手に貰ったとか盗んだとかじゃなくて、形見っていうんだ」


びっくりした。
いやなにが、ってそんな言葉が出てくると思わなかったから。形見、形見。言われてみれば確かに、これは形見と言ってもいいもので。
でもなんだろう、記憶がないからかな。あんまり形見って感じがない、というか。

形見ってその人の思い出が詰まったもの、って認識があるから、母さんとの思い出が無い私にとっては形見というよりかは勝手に貰った物、って認識が強かった。

神様も特に簪のことで触れるなんてことなかったし、神様以外の話し相手とかいなかったし。…………いや別に私寂しい奴とかじゃないから。勘違いしないでほしい。断じて！ 違うから！！


「形、見」

「うん。形見」

「そっ、かぁ。形見かぁ……」


けれどもなんだろうな。炭治郎が言うとすとんと胸に落ちてくる。
形見か、形見。うん、そっか。


「……じゃあ、今よりもっと大事にしなきゃね」


そう言うと、炭治郎はにこりとまた柔らかい笑みを浮かべて「そうだな」と言ってくれた。
うーん、やっぱり私年上の面目丸つぶれだね？？

第23話 少女が消える町→←＊

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