【鬼滅の刃】神様の巫女 弐

＊ ページ9

「……傷はもう痛くない？」

「ん？ もう大丈夫だ。……何回も言うが、Aのせいじゃないからな？」

「……炭治郎はもうちょっと私を責めてもいいと思うのよ」


こちらも変わらず、私のことを気遣ってくれている。優しいことこの上ないけどその分の罪悪感ってのがまあ積もりに積もるわけで。
まあ！！？ いつまでもうじうじするのはよくないって分かってんだけどねこっちも！！ でも拭いきれない何かしらって生きてる上で絶対あると思うの！！


「そういや炭治郎、その箱なに？」


炭治郎が背負う箱に視線をやった。以前はこんなもの持ってなかったはずだ。
大きさからして、うーん……着替え、とかそんな感じの？


「これか？ これは……俺の、大切なものだ」


その瞳が慈しみの色に変わった。ああ、本当に大事なものなんだなって分かる。誰だよ着替えとかくだらないこと言ったの。私だわ。


「……そっかぁ。本当に大事なものなんだねぇ」

「ああ」

「んー……私の大事なものは……なんだろな。あ、この簪かな！」


そう言って簪を髪から抜いた。いやなんか人の大事なもの聞いたからには自分のも言わなきゃなっていう使命感が……。
うん、やっぱり今日も綺麗にきらきらしてる。一瞬大事なものは何か考えたとかはツッコまないでほしい。即答できなかったとか責めないで。
めちゃくちゃかなり本当に不本意ながら一瞬神様この野郎から貰ったお守りと刀が過ったとか知らない知らないそんなわけない。私の大事なものはこの簪です。


「綺麗だな。きらきらしてる」

「でしょ？ これね、紫のが私ので、白いのが母さんのなの」

「貰ったのか？」

「勝手にね」


勝手に？ と問うてくる炭治郎を隣に私は簪をまた挿し直す。うん、と答えて向けた顔は、ちょっとバツが悪そうなものだったかもしれない。

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