【鬼滅の刃】神様の巫女 弐

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ふらり、と視界の端でなにかが傾いた。視線を向ければ禰豆子ちゃんがふらふらしてる。慌ててその身体を支えて向かいの壁へと寄りかからせると、眠そうにとろりと蕩かせた彼女と視線が絡んだ。ひええ可愛い……最高に可愛いなにこれ……。
後ろで何か話してる声がするけどごめん私それどころじゃないです。頭の傷からはもう血が出ていない。止まってる。
やっぱりこの子は鬼……なんだろうなぁ……。


「……ごめんね。私がもっと早く鬼を倒せてたら、こんな怪我しなかったのに」


痛かったよなこれ。めちゃくちゃ血が出てるもん。私がもっと強かったら、こんな怪我しなかったはずだ。
なのにどうして、彼女は私に手を伸ばして。
そんな瞳を向けて、頰を撫でてくれるのか。
すう……と彼女の瞼が降りていく。これは……失神？ あ、違う寝たのね。


「禰豆子！」


声の主はもちろん炭治郎。炭治郎の向こう側に鬼はいなくて、刀を納めてるってことはさっきの鬼は斬ったってことか。
少し慌てた様子でこちらに来る彼に、禰豆子ちゃんの右手側に座る私は「大丈夫、寝てるだけ」と声をかける。禰豆子ちゃんの頰に触れた炭治郎が彼女の様子を把握して口を開いた。


「血も止まっている。回復する為の眠りか」

「頑張ってくれたもんねぇ。一人で鬼を相手取って、この子すごいね」

「ああ、禰豆子はすごいんだ」


私に微笑む炭治郎の視線の優しいこと優しいこと。そっかぁ、と返事をする私も自然と笑顔になる。
でもどうして、眠る禰豆子ちゃんに向ける視線は、そんな辛そうなんだろう。


「ごめん……ごめんな。もう少し待ってくれ。兄ちゃんがきっと、人間に戻してやるからな……！」


おでこを合わせて絞り出された声に、思わず驚いた。
いや、うん。さっきの妹に触るなってのと今ので二人が兄妹ってのは分かったけど、人間に戻す……？ 鬼から人間に戻す……もしかして炭治郎は、その方法を知る為に鬼殺隊になったとか……？
そもそも私が鬼殺隊になったのだって、元は情報収集目的だ。もしかして彼も同じ？ うーんあり得る。

炭治郎が背負っていた箱を降ろして蓋を開けた。


「箱にしまう……あーこの言い方なんか嫌だな。えと、入れるの？」

「うん。禰豆子は鬼だから、朝陽を浴びると駄目なんだ」

「なるほど。入れるの手伝うよ」

「ありがとう」

第26話 事情説明と神様の話→←＊

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