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「冷静になれ、俺よ。まぁいいさ。こんな夜があっても。この町は随分十六の娘を喰ったからなあ。どれも肉付きが良く美味だった。俺は満足だよ」
「俺は満足じゃないんだァ! 俺よォ……!まだ喰いたいのだァ!!」
「十六の女の子になんでそんな執着するの……」
呟いたのがいけなかった。
落ち着いた雰囲気の鬼は私に視線を移すと口に笑みを浮かべてこう言った。
「ああ、お前も十六の女か。喰いごたえがありそうだ」
「ひぇ……なんで私見てそんな怖いこと言うの……っていうかなんで年齢分かるの……!?」
「化け物……! 一昨晩攫った、里子さんを返せ……!」
震える声で言ったのは和巳さん。
和巳さんがそう口にした瞬間にまたあの歯軋りの不快な音が辺りに響いた。目の前の鬼は歯軋りをしていない。音は上の方から。
そちらを向けば、いつの間にか塀の上に現れていた鬼が忌々しげに歯軋りをしていて。
それに釣られるように炭治郎が対峙している鬼も私が対峙している鬼も残りの顔半分と身体を出して歯軋りを始める。
異様な不気味さに寒気がした。
「里子……? 誰のことかねぇ」
ひらり、とその鬼は右腕を広げる。着物の裏側にはたくさんの簪。その中で一際目立つ、赤いリボン。
「この収集品の中にその娘の簪があれば…………喰ってるよ」
視線だけを和巳さんの方へと向けて、目を見開いて息を呑んだ。
真っ青な顔で涙を流している。あったんだ、簪が。どれかは私には分からないけど、和巳さんのあの反応はきっと、見覚えのあるものが……里子さんのものが、あったんだ。
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さんいちが・改 - ユズヒさん» 返信遅れてすいません!なるなるほどほど楽しみですな!! (2020年6月12日 21時) (レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - さんいちがさん» コメントありがとうございます!そしていい所に気づいてくださいました!そうなんです、夢主は強い鬼には弱くなるんです。対人だと一部除いて強いんですけどね。何で弱くなるかというのはこの先を読んでいただければ分かるようになっているので、お時間あればぜひ! (2020年5月3日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
さんいちが - あの、ちょっと気になる(?)んですが。夢主強いのに炭治郎が苦戦したりする鬼には夢主弱くなってるような…夢主は冨岡さんに追いかけられたとき、冨岡さん追い付けないって言ってたり、結構強いと思うのに沼の鬼に苦戦してたし………あれ?私の理解力がだめ? (2020年5月3日 22時) (レス) id: d344c61285 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» 宇髄さんは!!アウト!!ですね!! 色男全般はアウトです (2019年8月4日 23時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 美丈夫恐怖症……損だなぁ。伊之助の顔はどうなんだろう?宇髄さんはアウトだよなぁ…… (2019年8月4日 22時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月26日 1時