【鬼滅の刃】神様の巫女 弐

第20話 神風 ページ2

「……は？」


上手く言葉が出てこなかった。え、神？ 誰がそんなことを？ 人が？ 神様の前で？ 本物の神に対して、そう、豪語した？

こいつが神ということは私が一番よく知っている。いつから信じ始めた、なんてそんなん覚えていないけど、でも確実に、こいつは神という存在だ。だからこそ神業ができて、私の記憶だって元に戻された。

そんな相手に対して、自分は神だと言う人間が、いた？


「え……え、それで、どうしたの」

「儂、ちと……いや、かなり腹が立っての。使っちゃった」

「なに、を？」

「息吹」


ひゅ、と喉からそんな音がした。人に対してあの業を使った？ は？ え、え？
いや待て。神様はさっき“踏み止まった”と言っていた。ってことは殺してないってことで。
…………その時は死んでなかっただけで、後々死んだ、とかじゃないよね？


「安心せい。殺してはおらん。ちょっとの、ちょっと風使って山から追い出しただけじゃ。ちゃんと加減はしたから斬れてはおらん」

「風……颶風(ぐふう)かぁ……」


神の息吹 参ノ型 神風(かむかぜ) 颶風(ぐふう)。
刀を水平に振った勢いで発生させた鎌鼬で相手を斬る業。
神様が使う業なんだからそりゃもう鎌鼬が起こるわ起こる。音もマジでやばいし、空間ごと斬ってんじゃないのかと思うぐらいには鎌鼬が凄い。

あれで、山から追い出した、とは。


「威力をちぃっと落としての。斬れんように、こう、空気を柔らかくして……」


待って全然分からん。空気を柔らかくってなに。

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