＊ ページ49
「黒髪の奴と、なんかやけに顔立ちがいい派手めな見た目の奴」
「えぇ……？ 黒髪は前の人として、もう一人誰よ？」
「知るわけなかろ？」
「でっすよねー」
分かっていたとも。でも、なんでもう一人連れて来たし。
「なんかの、お主に用があったっぽいぞ」
「私？」
「以前の女はどうした、と聞いとった」
タイミング悪いなぁ。その頃私多分、善逸振り回して鬼退治だよ。
さっき出されたお茶を一口飲んで、それで？ と続きを促した。
「知ってどうする、と答えてな。どっちにしろ貴様らの前には出さん、とっとと帰れと言ってやった」
「え、どしたの不機嫌だね？ なに？」
神様がそこまで不機嫌になるなんて珍しい。
なんだなんだ。
「彼奴ら、注連縄の中に入って来おった」
「わあ……」
神様はこの山を自分のものとしている。
本当なら自分のもの、つまりは自分の領域に人間が入るのは嫌らしいんだけど、一応神様は村の人に(勝手に)祀り上げられてここの守り神をしているから、注連縄の外側は大目に見ているんだと言っていた。
けれど。注連縄の中となると話は別。
そもそもあの注連縄は村の人間達が、これまた勝手に巻いたもの。神様が頼んでないのに設けたものだ。
この神はその注連縄を巻いた領域……つまりは内側を、人間達から“貰った”と、“これ以上は人間は踏み入らない領域にする”と、そう宣言したのだと汲み取った。
元々は(自称)流離いの神。自分の居場所なんて無かったのに、人間がその居場所を与えたのだ。何か思うところがあったのだろう。
まあもしかしたら「お前らが言ったのだからその言葉と行為に二言はないだろう」といった理由かもしれないけれど。
閑話休題。
つまりは、だ。
簡単に言うと、この神は人間が注連縄の内側に入ることを酷く嫌っている。
そんな神の領域に人間が入った？ なに？ 馬鹿なの死にに来たの？
タイミングが悪いことに私はその時いなかったわけで。私がいたなら前回同様私が相手になったのだろうけど、いないなら神様が出るしかないだろう。本当ツイてない人達だことで。
「殺してないよね？」
「なんとか踏み止まった。でものぅ」
また自身の顎を撫でた。目がスッと細まったところを見ると、かなり機嫌を損ねることがあったようだ。
「もう一人……黒髪の奴じゃない派手めな方がな、言いおったのよ」
「何を？」
神様の形のいい唇から零れた言葉に、私は凍りついた。
「自分は神じゃと」
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ひめ(プロフ) - 手鬼遭遇時の夢主の心中がまさに『平和な日本で生きた転生者』の葛藤でとても惹き込まれました。まあ実際鬼滅世界に放り込まれたらこうなりますわな…って思いが強いです。面白い！！ (2022年11月18日 17時) (
レス) @page50 id: 46aa1d2279 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！私なりに調べてみたのですが、“一息で言う”という意味で“ノンブレス”と使う方が多く、夢主もそっち側かなぁと思いこちらの単語を使いました。今の所変更する予定はないのですが、読みづらくなっていたのなら申し訳ありません。 (2020年3月28日 2時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譽好譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譴轡譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルイリカさん» あ！！？？本当ですね！！？ ご指摘ありがとうございます！ 修正致しました！！ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユズヒ
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作成日時：2019年7月17日 0時
