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嫌味だとか皮肉だとかそんな黒い感情は全くなく、ただ本当に、ただ純粋に、凄いと思った。尊いと思った。
あんなの普通ならできやしない。そこまで人は優しくなんてなれやしない。ましてや大事な人達を殺し、自分を殺そうとしてきた奴にどうしてそこまで優しくできるのか。そんなの、フィクションの中だけの空想なんじゃないの。
「っ！ 誰かいるのか？」
少年がこちらを見た。幸い私の身体は木々の影に隠れて見えないだろうけど、待ってどうしてバレたの？ 私何か音たてたっけ？
どうしようか。このまま出る？ 出てどうするの？ 私は彼を手伝えなかったのに？ そのせいで彼は怪我をしているかもしれないのに？
そう考えること一秒程。私は身体を翻して少年が立つ方向と逆向きに走ってその場を後にした。
彼の目の前に出る？ 冗談じゃない。出てどうするってんだ。ごめん、って謝るの？ 無事でよかった、って？ 言うの？ どのツラ下げて？
え、無理無理罪悪感やばすぎて言葉出てこないって。つっかえちゃうって。
音がしないあたり彼は私を追ってきてはいないらしい。よかった。追ってきてたらもう全力で逃げるしかなかった。
あ、頭の傷大丈夫だったかな。布か何かでも置いてくればよかっただろうか。
ある程度走って立ち止まって、肩で息をして背中を丸める。呼吸の常中なんて、ここに来た時はやってたけどあの鬼を見て乱れたのでそれっきり。今はそれをやる気さえしない。
がさっ、とまた目の前から鬼が出てきた。何体いるの。ちょっとさすがに居すぎでは。
抜きっぱなしの刀を強く握りこんで足を強く踏み込んで向かって行く。型なんて使わない。ただ目の前の鬼の頸を斬るだけ。
勝負は一瞬。ぼとりと鬼の頸が落ちる音と、私の息がきれる音。ザラザラと鬼が崩れる音が、なんだか嫌に耳にこびりついた。
こいつらレベルなら身体は動くのに。どうして私はあの時、あの時……！
息を大きく吐き出して月が綺麗な空を仰いで、滲む視界でぽつりと呟いた。
ああもう本当、弱いなぁ……。
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ひめ(プロフ) - 手鬼遭遇時の夢主の心中がまさに『平和な日本で生きた転生者』の葛藤でとても惹き込まれました。まあ実際鬼滅世界に放り込まれたらこうなりますわな…って思いが強いです。面白い！！ (2022年11月18日 17時) (
レス) @page50 id: 46aa1d2279 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！私なりに調べてみたのですが、“一息で言う”という意味で“ノンブレス”と使う方が多く、夢主もそっち側かなぁと思いこちらの単語を使いました。今の所変更する予定はないのですが、読みづらくなっていたのなら申し訳ありません。 (2020年3月28日 2時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譽好譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譴轡譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルイリカさん» あ！！？？本当ですね！！？ ご指摘ありがとうございます！ 修正致しました！！ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユズヒ
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作成日時：2019年7月17日 0時
