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私が呟いた声は聞こえていないようだ。五十人？ そんなに？ 待って、意味が少し分からないけど一つ分かったことがある。
あの鬼は人を五十人喰ったと言った。雑魚共は二、三人。……もしかしなくとも、鬼は人間を喰った数によって強さと見た目が変わる……？
知らないことが多すぎる。思ったより情報量が多いのとあまりの衝撃で頭が痛い。
山に篭りっきりだから知らなかった。少し強い鬼が出る時もあったけど、あれは一体何人喰ってああなるんだろう。少なくともあんな異形ではなかったはずだ。
そこでハッとした。神様は少し強い鬼でも姿は見えないから気配を辿って斬ると言っていたし現にそうしているけど…………今目の前にいるレベルの鬼の気配は、分かるのだろうか。
見えないのは確実。ならば気配は？ 前に言った「レイヤーが切り替わる」という私が考えた説を前提とした場合、あの鬼レベルがいるレイヤーに果たして神様は干渉できるのだろうか。強さごとにレイヤーが細かく切り替わるのなら、下手すれば気配すら辿れないことも……。
「十一、十二、十三……でお前で十四だ」
いきなり指を使って数を数え出した鬼にハッと我に帰った。腕三つを使って少年を指差している。目を見開いている少年は、それが何の数字か分かっていないのだろう。
私だって分からない。
「なんの話だっ！」
くすくすくす。
鬼が肩を揺らし不気味にいやらしく笑った。三つの手のひらで口元を隠し、視線を上に、目には三日月を描いている。とてもねっとりとした嫌な笑い方。
「俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ。ふっふっふっふ……あいつの弟子は皆殺してやるって決めてるんだ」
少年の目が、大きく見開いた。鬼が囁くように言った言葉はあまりに残酷で、ひゅ、と私の喉が嫌な音をたてる。身体の血が引いていく音がする。
反応からしてきっと彼も、その鱗滝って人の弟子なんだろう。
本人に手が出せないのだから弟子、と分からないでもないが、かと言って分かりたいとも思わない。
……やばい。本当に衝撃が大きい。
神様に稽古をつけてもらって、鬼と戦って。強いと自覚はある。そこら辺の並の剣士なら秒で倒せる。それだけ強いと思う。
けれど、私がもしあの少年の立場なら。もし神様が他に、私のように大事に育てた子が、いたとして。その子が鬼に無惨に殺されていたのなら？ 考えて、くらりと眩暈がした。
何が言いたいかというと、つまり。
私は剣術こそ強いが、精神はまだまだ弱いということだ。
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ひめ(プロフ) - 手鬼遭遇時の夢主の心中がまさに『平和な日本で生きた転生者』の葛藤でとても惹き込まれました。まあ実際鬼滅世界に放り込まれたらこうなりますわな…って思いが強いです。面白い！！ (2022年11月18日 17時) (
レス) @page50 id: 46aa1d2279 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！私なりに調べてみたのですが、“一息で言う”という意味で“ノンブレス”と使う方が多く、夢主もそっち側かなぁと思いこちらの単語を使いました。今の所変更する予定はないのですが、読みづらくなっていたのなら申し訳ありません。 (2020年3月28日 2時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譽好譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譴轡譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルイリカさん» あ！！？？本当ですね！！？ ご指摘ありがとうございます！ 修正致しました！！ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユズヒ
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作成日時：2019年7月17日 0時
