第17話 日輪の彼 ページ38
斬れなかった。
善逸に全力で止められて斬れなかった。無念。解せない。
踏み込みをさっさとしとけば斬れたのに……甘さが出てしまった……。そんなことを悶々と考えながら、私はてくてくと道を歩く。
あ、因みに私が今何をしているかと言いますと。
絶賛ストーカーなうである。
分かってる！！ 山に来た鬼殺隊の野郎のこと粘着質ストーカーっつって恨んでる奴がなんでストーカーしてんだよって言いたいんでしょ！？ 分かってる分かってるよだからそんな目で見ないでほしい！！ っていうかこれバレてないよね！？ バレてないよね！！？？
あの後。彼らが玉鋼を選んだ後はなんやかんやあって各自解散という形になった。善逸とはそこで別れ(嫌だと駄々を捏ねられたが。あんだけ振り回したのに別れるの嫌ってどういうことなの喜ぶところじゃないの)、私は頭に怪我をしている彼を、あの…………ストーカーしている。
いやだって、生き残った中であんな怪我してたの彼だけだったから……それにほら、あの怪我、私のせいでもあるし……。
で、気づいたら後をつけてた。自分でもだいぶやばいと思う。ストーカーってこうして生まれるんだね……。
かあかあ、かあかあと鴉が鳴いている。時刻は夕方。オレンジに染まる帰り道を拾った木の棒を杖代わりに歩く彼は、なんかもう歩くのがやっとといった感じで。なんで手助けに行かないかってだって……罪悪感がすっごいから。
彼の前に出てほんとどんな顔すればいいのよ。あの時助けられなかったのにこういう時だけ、とか。自分の情けなさをダイレクトに受け取ってしまうというか。
ああでも足元ふらついてる今にも倒れそう。そうだよな七日間だもんな疲れたよな。
雨の日もあったし、陽射しが出てない日は鬼も昼間に活動するもんなぁ……。支給された隊服だって重たいはずだ。んんんんんどうしようどうすればいいんだこれ。
なんて腕を組んで悶々と考えていたら。どさり、からん、と音がした。パッと目を開いて前を向いて見れば。
「あっ……」
少年が、倒れていた。道の真ん中で、横たわっていた。
うわ、うわうわうわうわ倒れたよどうしようどうすればいいんだこれ！？
わたわたと慌ててプチパニックになる。
けれど私がそんなことしている間に、強くて優しい少年は重たいであろう身体をなんとか起こしてまた歩き出した。
一歩、また一歩とゆっくりだけど、重たい足取りだけれど、歩いて行く。
………………何やってんだ、私。
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ひめ(プロフ) - 手鬼遭遇時の夢主の心中がまさに『平和な日本で生きた転生者』の葛藤でとても惹き込まれました。まあ実際鬼滅世界に放り込まれたらこうなりますわな…って思いが強いです。面白い！！ (2022年11月18日 17時) (
レス) @page50 id: 46aa1d2279 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルーナさん» コメントありがとうございます！私なりに調べてみたのですが、“一息で言う”という意味で“ノンブレス”と使う方が多く、夢主もそっち側かなぁと思いこちらの単語を使いました。今の所変更する予定はないのですが、読みづらくなっていたのなら申し訳ありません。 (2020年3月28日 2時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譽好譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ルーナ - �爛離鵐屮譽広瓩茲蝓↓爛屮譴轡譽広瓩諒�が馴染みがあるます。 (2020年3月27日 23時) (レス) id: f3f2e83d09 (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - ルイリカさん» あ！！？？本当ですね！！？ ご指摘ありがとうございます！ 修正致しました！！ (2020年3月18日 0時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユズヒ
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作成日時：2019年7月17日 0時
