第10話 日の輪の刀 ページ44
「神様ってなんの神様なの?」
「ん〜?
「馬鹿なの?」
聞いて損したと思った。ふと、そういえば神様ってなにを司る神なんだろうと考えたのがきっかけ。
ほら神様にも色々あるじゃない? 水とか炎とか。どれに当て嵌るのかなって聞いたらこの返答。本当頭沸いてんじゃないの。
「馬鹿とはなんじゃ馬鹿とは。あのなぁ、そもそも神なんてそんなもんじゃよ? 人の子らが必要だからと生み出した偶像が神なんじゃからな? 分かっとる?」
「っあー無理頭痛くなる話やめて〜」
ぐっぐっと柔軟をしながら話を制止する。身体を柔らかくしろと柔軟を続けてきたが、今となってはそりゃもうぐねんぐねんだ。百八十度開脚したままお腹が畳につく。海老反りだってできる。……自分で言っといて海老反りて。
「神はなぁ、元々司るものなんて多々あるんじゃよ。それを、人の子が固定するから司るものが限られてしまう。分かる?」
「うえ〜聞くんじゃなかったなんとなくだけど分かる〜」
「で、儂は特にこれといって司っとるものはないよな。強いて言うなら“守り神”として村の奴等に固定されたぐらいかの」
「かと言ってちゃんと守ってるかと言うとそうでもないと」
「なにおう! ちゃぁんと守っとるではないか!」
「程よく鬼を取り逃がしつつね」
ははは、と笑うと、言っとくがお主の為でもあるからの! っていうか八割お主の為じゃからな!? と返された。でも神様だってご飯食べてるじゃん、と打ち返せば、本来なら食べなくてもいい、ときたもんだ。
「じゃあお酒は?」
「…………」
なぜ黙る。
毎月供えられる一升瓶を実は楽しみにしてること、私知ってんだからな?
さて。
どうして私がこんな話を思い出しているかと言うと、この話の区切り方からもうお分りだろうけど、そう。
現実逃避、第二弾である。
ざざざざっ、と道とは呼べない山中を地面と木の上を駆使して駆け抜ける。後ろからは私を追いかけてくる気配。
空は曇天、なんならもう少しで雨が降り出しそうだ。
なんだ、どうしてこうなった一体なんなのさ!
なんであの人は私を追いかけてくるの!!
どこでしくじったのか、そんなもん分からない。もしかしたら、神様のお面を熱湯消毒した上で拝借してきたのが悪かったのかもしれない。ちゃんと神様には言ったけど。え、なんで熱湯消毒かって? 美丈夫恐怖症の私が消毒無しでこの面つけれるかい。
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時