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「…………そっ、か……」
そうして、息絶えたのだ。母は、私を庇うように抱きかかえ鬼に背を向けたまま倒れていたそうだ。私を守る為に、背を向けた。
私が潰れないように、鬼に切られた後も背を丸めてしっかりと抱きかかえていたらしい。
私は、それだけ愛されていた。
母は私を神様に預けると、私の頬を撫で、幸せになってねと言葉をくれたらしい。
名前はその時に聞いたのだと。聞いた名前を自分の着物の裾を破いて、そこに母の血で書いたそうだ。それをお包みに入れた、と。
…………その場にあるものを使うのは分かるけど、血で書いちゃったらそれは呪いの類にならないかな??
「にしても、やめてほしいことよな〜。頼まれたところで、儂赤子の育て方とか知らんもん。どうしたもんかなって考えた末に、村に置くことを思いついたわけよ。儂ってばあったまい〜い」
「ちょっとウルっとしてたのにそういうこと言うのやめてもらっていいですかね??」
おかしいな、さっきまでしんみりしてたのに一気に空気が変わってしまった。私の涙を返してほしい。泣いてないけど。
「そしたら幼妻として戻ってくるんじゃから、儂もうびっくりよ、ほんとに」
「だから妻じゃないって……。あのさ、私の両親ってどんな人だった?」
「は? 知らんわ何言っとんじゃ? 男の方とは話しとらんし、女とはその会話で終わっとんのよ? 分かるわけなかろ?」
「あんたに聞いた私が馬鹿でした!!」
うおおおお、とブンブンと素振りを再開。所謂八つ当たりってやつだ。
くっそう期待して損した! そういやこいつ空気読むってことが呆れるほどできない奴だったわ!!
「まあでも、大切にはされとったじゃろ、絶対」
「……」
「じゃなければ、お主のことを守ったりせんよ」
「………………神様がそんなこと言うの、めちゃくちゃ気持ち悪いんだけど」
「もうしょうがないの〜! 素振りもう二百回いっとくか〜!!」
「っはあっ!?」
感傷に浸る間もなく、私は神様の言葉通り素振りもう二百回をやるはめになった。地獄。
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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年7月11日 20時