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そんな時にこの衣装を着て神様にお供え。
私も確かに、神様にお願いするしかないと思っていた。
だからこそ爺さんに「神様のところにお供えものをしに行ってくれないか」と言われた時は素直に受け入れたし、その大事な役目が自分に回ってきたことを誇らしく思った。しかも綺麗な服まで用意されて、なんなら髪だって肩あたりまで綺麗に切り揃えてもらって、綺麗な化粧をされて、神輿に担がれて。
私の中ではお祭り騒ぎである。

そんなこんなで社について、私はお供えものを手に中に入った。神輿を担いでいた村の人は「明日の朝迎えに来るから、ここにいるんだよ」と言っていたからこくりと頷いた。
夜。ほーほーとどこかで梟が鳴いていた。社の中は暗くて正直怖かった。いやほんとマジで。
子どもだけで山奥の社に残すとか頭おかしいと思う。
一人は怖かったし心細かったけど、これはお役目だからと頑張って耐えて、いたら。


さくさくと聞こえた足音。びくりと跳ねる身体。もしかしたら村の人が迎えに来た? とも考えたが、すぐに違うとわかった。だって、ついこの前夜に村の外に出た人が殺されたのだ。なのに村を出るわけがない。
じゃあ誰? もしかして────鬼?
どくりと心臓が跳ねた。鬼、だとしたら。どうしてここにいる? だって、だってここは、ここは! 神様の場所なのに、どうして!
ぎゅう、と破れんばかりに布を握った。身体がかたかたと小刻みに震えた。怖かった。
目には涙が溜まっていく。怖い、怖い。
誰か、助けて……!

目を強く瞑ってそう唱えると同時に、ぎぃ、と社の扉が開いた音がした。


「……うわー、そう来ちゃう? 儂幼妻とか趣味じゃないんじゃけど」


聞こえた声は呑気なものだった。恐る恐る顔を上げれば、そこには銀色の月の光を浴びる一人の……男? がいた。背が高いから男なはずだ。
低い位置で結わえた髪は青を帯びた黒。それがまあ大体、腰の辺りまでの長さ。
膝丈のクリーム色の着物に、下は黒い袴。そして草履。


「ぇ、と……」

「困ったのー。酒とか野菜とかはええんじゃが、幼妻とは……どういう趣味しとるんじゃあのクソジジイ」

「かみ、さま?」


一人でぶつぶつと何かを言うその人に、これまた恐る恐る尋ねてみる。その時初めて、その男がお面をしていることに気がついた。
男の視線がこっちに固まる。

*→←*



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ユズヒ(プロフ) - 夜美さん» もうそんなに経つんですねぇ……。長いようで短い一年でした。いつもありがとうございます!映画公開、円盤発売後からも再開するので、またよろしくお願いします!! (2020年7月11日 9時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
夜美 - 気づけばもう神様の巫女は一周年ですね。本編の区切りもついたのもタイミングバッチリですね!今までもこれからも、この作品が大好きです!応援してます (2020年7月11日 9時) (携帯から) (レス) id: 17b8cf45ac (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» いえいえとんでもないです!ご指摘頂けたおかげで描写抜けの事にも気付けたので、私としてはありがたい限りです! わー!ありがとうございます!!迷惑なんてことないですよ!これからもよろしくお願いします! (2020年4月29日 13時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)
かなで(プロフ) - ユズヒさん» そうだったのですね……!私の理解が足らず、申し訳ないです。。文章の書き方が凄く好きなので、作者様の事を推して行きたいと思ってます…!ご迷惑でなければ、仲良くして下さると嬉しいです……! (2020年4月29日 2時) (レス) id: 58d60c86cb (このIDを非表示/違反報告)
ユズヒ(プロフ) - かなでさん» なので、文字にしてある構えは抜刀をする際のものではなく、“抜刀をした後の構え”の描写となっております。もし、「いやいやそれでもやっぱりおかしいな…?」となったら遠慮なく仰ってください!ご指摘ありがとうございました! (2020年4月28日 20時) (レス) id: 717d8ad01f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユズヒ | 作者ホームページ:   
作成日時:2019年7月11日 20時

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